猿之助被告「限界だ」 母「1人で逝かせるわけにはいかない」

2023年10月21日 05:09

芸能

猿之助被告「限界だ」 母「1人で逝かせるわけにはいかない」
市川猿之助被告 Photo By スポニチ
 【市川猿之助被告初公判 】 都内の自宅で、猿之助被告が半地下、父・段四郎さんと母・延子さんが2階で倒れた状態で発見されたのは5月18日。前夜からそこに至るまでの生々しい経緯が、検察側の冒頭陳述などで明らかになった。
 事件の引き金となったのは、週刊誌による猿之助被告のハラスメント報道。猿之助被告は発売前日の17日に記事を確認し「歌舞伎界に迷惑をかけた。死んだほうが楽だ」と考えた。被告人質問で、当時の心境を「もうそれ(死ぬ)しか方法がないと、負のスパイラルに入った」と明かした。インターネットで検索し「一番苦しくなく、眠るように」と書かれていた、睡眠薬を飲みポリ袋をかぶる方法を採用した。

 「何も言わずに死んだら驚くだろう」と、両親には17日午後8時ごろに考えを伝えた。延子さんからは「周囲の人たちに対する責任はどうするのか」、段四郎さんからは「舞台への責任を投げ出すのか」と問われたが、「もう耐えられない。限界だ」と意思を伝えた。

 延子さんは「1人で逝かせるわけにはいかない」、段四郎さんも「1人だけ生き残るのは嫌だよ」と言い、3人で“人生をやり直す”ことを選んだ。猿之助被告は法廷で「一緒に死んでほしいと頼んだか」と聞かれ、「そんなことはありません」と否定した。

 猿之助被告は、不眠症で処方されていた2種類の向精神薬の錠剤を用意。台所で10錠ずつ、計20錠を調理用ハンマーでつぶし、コップ2つに分けて入れた。水を入れて溶かし、梅シロップで味を付けた。これを両親に渡し、夕食のうどんを提供した。

 両親は午後10時までにコップの水を飲み、延子さんは椅子から落ちて床に座る体勢に、段四郎さんは長椅子の背もたれに背中をもたれかける状態になった。片付けをし、仏壇に手を合わせた。友人や親族への手紙を書いた後に同じ向精神薬を服用し、帯ひもを首に巻いた。

 翌18日午前10時ごろ、自宅へ迎えに来たマネジャーらが倒れた3人を発見。延子さんは自宅で、段四郎さんは搬送先の病院で死亡が確認された。猿之助被告は搬送先の病院で胃洗浄などの措置を受け、一命を取り留めた。

 結果的に自分だけが生き残った。「申し訳ないと思います。供養を祈っています」。消え入りそうな声で両親への思いを口にした。

 ≪事件の直前まで両親元気≫段四郎さんと延子さんの事件直前の様子についても言及があった。10年以上舞台から離れていた段四郎さんだが、通っていたカイロプラクティック(整体療術)の担当者の調書で「舞台復帰を目指してセリフの読み合わせをしていた」と明かされた。一部で「寝たきり状態」と報じられていたが、今年3月から毎週施術に訪れ「つえを使わず歩き、ミットに向かってパンチやキックもできる。同年代の男性よりもしっかりしていた」と読み上げられた。延子さんを担当していたトレーナーは前日の姿について「体調もよく、明るい印象だった」とした。

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