在京民放全局が「旧ジャニーズ問題」検証番組 テレ朝12日放送、制作現場での一部“忖度”認める

2023年11月12日 11:51

芸能

在京民放全局が「旧ジャニーズ問題」検証番組 テレ朝12日放送、制作現場での一部“忖度”認める
テレビ朝日 Photo By スポニチ
 テレビ朝日は12日、旧ジャニーズ事務所の故ジャニー喜多川元社長による性加害問題を受け、検証番組「テレビ朝日 旧ジャニーズ問題検証」を午前10時から1時間にわたって放送した。
 今回の検証では、局員ら103人をヒアリング。報道の現場から「ジャニーズへの配慮」「性加害裁判を扱うべきニュースと考えていなかった」という証言があったほか、制作現場から「忖度したことがある」「配慮があったのは事実」との声が上がった。同局としても「幹部が直接事務所と交渉に動くことから、忖度するという局内の空気が醸成された」と認めた。

 在京の民放各局は、性加害問題を受けての社内調査結果を検証番組として10月に放送してきた。日本テレビは4日の「news every.」内で、TBSでは7日の「報道特集」で検証結果を報告し、フジテレビは21日に「週刊フジテレビ批評 特別版 旧ジャニーズ事務所創業者による性加害問題と“メディアの沈黙”」と題して特別番組を放送。また、テレビ東京は26日に「ジャニーズ性加害問題~検証報告と今後の対応~」を急きょ放送した。

 日本テレビは今月4日放送の「news every.」内で、社内調査の結果を報告した。ジャニー氏のセクハラ報道を受けての裁判結果を報じなかったことに、「ジャニーズ事務所への忖度や事務所からの圧力は確認できず」としたものの、「週刊誌のゴシップと軽く捉えていた」「男性への性加害全般に対する問題意識が低かった」と説明した。同事務所に当時、所属していたタレントが強制わいせつの疑いで書類送検(その後不起訴)された事件では、報道幹部が「報じることに必要以上に慎重になった」との証言も。結果として他社より放送が遅くなり、「忖度かと言われればそれは忖度だと思う」と証言したことを明らかにした。

 TBSでは7日の報道番組「報道特集」で、同事務所の関係について社員らの証言をもとに検証した。ジャニー氏の裁判結果を報じなかったことについて、当時の社会部デスクは「男性の性被害に関する意識が低く、週刊誌の芸能ネタと位置づけてしまった」と証言したという。ドラマ、バラエティーなど番組制作の現場からは「この1年の間にもジュリー氏(藤島ジュリー景子前社長)を通してキャスティングをめぐる圧力が番組にあった」との声もあった。

 フジテレビは21日、「週刊フジテレビ批評 特別版 旧ジャニーズ事務所創業者による性加害問題と“メディアの沈黙”」と題して特別番組を放送。立松嗣章編成制作局長は「魅力あるタレントが多く所属し、多くの番組に影響力を持つ旧ジャニーズ事務所に対して、徐々に特別視するような空気が出来上がっていったことは否めません」と述べ、「そうしたことが性加害を見逃したことにつながったのだと思います」と見解を示した。今後については「改めて行き過ぎた部分を見直し、適切な関係を築いていく必要があると考えています」とした。

 テレビ東京は、新旧現場経験者134人からの主な証言を伝えた。元報道局員は、所属タレントが逮捕された際の警察取材で、「入口で同事務所の幹部とみられる男性から『名刺をよこせ。後で会社に伝えるからな』と威圧された」と証言。その言葉に動じることなく取材を続けたとした。また、中には「(1980年代に)ジャニー氏に迫られたと(事務所に出入りしていた)子どもたちから聞いたことがある」と証言した元局員もいたとし、「いまにして思えば、大人だった自分が一緒にいたのに、気づいてあげられなかったことを後悔している」と反省の声が聞かれたという。

 また、NHKは9月11日放送の「クローズアップ現代」で、この問題について取り上げた。NHKや民放の元プロデューサーらの証言を放送。元民放プロデューサー吉野嘉高氏は「スポンサーなどへの配慮から、当時ジャニーズ事務所の問題を放送で取り上げることはタブーだった」などと証言した。メディアの沈黙については、桑子真帆アナウンサーが、「被害者に事態を動かす役割を担わせてしまった。この事実を重く受け止め、責任を痛感しています」と述べ、被害者への誹謗中傷をやめるよう訴えた。
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