宝塚歌劇団員急死問題 遺族側は猛反発「事実関係を再度検証し直すべき」 ヘアアイロン事件事実認定されず

2023年11月15日 05:05

芸能

宝塚歌劇団員急死問題 遺族側は猛反発「事実関係を再度検証し直すべき」 ヘアアイロン事件事実認定されず
<社会・宝塚歌劇団・遺族>記者会見を開いた遺族代理人の川人博弁護士 Photo By スポニチ
 宝塚歌劇団側の調査報告会見を受け、遺族の代理人弁護士は14日、都内で記者会見を開き「遺族側は納得することはできず、劇団側は事実関係を再度検証し直すべきと考える」との見解を示した。「失当(不当)であり、劇団と上級生の責任を否定する方向に誘導している」と断罪した。
 中でも、女性が上級生からへアアイロンを額に当てられやけどした問題について強く反論。ヒアリングに応じた女性の母親は、やけど当日の女性の額を「3センチも皮膚がめくれあがっている状態」と証言し、女性からの「ちゃいろになってる」などのLINE文面も提出。だが、報告書はこれを完全無視。“ヘアアイロン事件”は事実認定されなかった。

 代理人の川人博弁護士は歌劇団側の意見だけを反映した報告書を「一方に偏した事実の摘示」と厳しく批判。上級生が女性に一度も謝罪していないとも指摘。「異常なまでの縦の問題」と歌劇団の体質にも切り込んだ。遺族は落胆している様子で「会社に謝罪してもらいたい。事実関係を認めてもらいたい」と話しているという。

 女性が約1カ月半、1日3時間しか寝られないほど業務が過密した状態だったと認定されたことに、川人弁護士は一定の評価を示した。ただ、労働時間の算定が実態より少なすぎることや、ハラスメントを事実認定しないなど、調査が不十分になった一因を「会社からの依頼として発足した外部の調査委員会の限界」と分析。日本弁護士連合会が、調査の方法や結果の取り扱いを公表する第三者委員会によるものでないことに苦言を呈した。

 現時点で遺族側は訴訟はしない方針。歌劇団側に補償や謝罪、再調査を求め、事実認識を改めるよう働きかけていくという。


 ≪経過≫
 ▼2021年8月14日 劇団員が上級生から額にヘアアイロンを押し当てられ、やけどを負う

 ▼2023年2月1日 やけどの件が週刊誌に報じられる。劇団は「報道は事実無根」の声明を発表

 ▼8月ごろ 劇団員が過度の稽古・公演等の業務量を課せられる

 ▼9月29日 宙組トップお披露目公演が宝塚大劇場で開幕

 ▼30日 劇団員の遺体が見つかる

 ▼10月1日 宙組公演が22日まで中止に

 ▼7日 劇団が会見し、「いじめがあるとは考えていない」と発言。原因究明のための「調査チーム」立ち上げも発表

 ▼20日 宙組公演が11月5日まで全公演中止となる。11月10~23日の雪組公演、12月21、22日に梅田芸術劇場で予定していた「タカラヅカスペシャル2023」も中止を発表

 ▼11月10日 劇団員の遺族側弁護士が会見。「過重な業務や上級生によるパワハラがあった」と公表


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