KANさん死去 「愛は勝つ」爆発的ヒット 国内数十例「メッケル憩室がん」闘病中

2023年11月18日 05:30

芸能

KANさん死去 「愛は勝つ」爆発的ヒット 国内数十例「メッケル憩室がん」闘病中
91年、日本レコード大賞にノミネートされたKANさん Photo By スポニチ
 「愛は勝つ」が大ヒットした歌手のKAN(かん、本名木村和=きむら・かん)さんが12日午後6時29分、死去した。61歳。福岡市出身。葬儀・告別式は近親者のみで済ませた。死因は明らかにされていないが、今年3月に日本では数十例ほどしか症例がないメッケル憩室がんを公表し、入退院を繰り返して治療を続けていた。
 所属事務所によると、KANさんは今年3月から療養生活を送り、活動再開に向けて治療に励んでいたという。10月には留学したこともある思い出のパリを訪れたことを明かし「最後まで復帰への思いは途切れることはありませんでした」とKANさんの思いを伝えた。お別れの会の開催は未定という。

 昨秋に数週間にわたって腹痛が続いたため検査を受けた結果、日本では数十例ほどしか症例がないメッケル憩室がんと診断された。STVラジオ(札幌市)の冠番組「KANのロックボンソワ」は、10月から第1週のみの出演。同16日には運転免許を更新したことを報告するなどしていたが、今月4日の同番組は治療に専念するため欠席。入退院を繰り返して闘病を続け、関係者は「体調を見ながら、ファンに近況を発信するよう心がけていたようです」と話した。SNSは7日に、大好きなザ・ビートルズの最後の新曲「ナウ・アンド・ゼン」についての感想をつづったのが最後の更新となった。

 小学生の時にクラシックピアノを始めた。中学の時に友人と4人組バンドを結成し、ビートルズの歌をコピー。高校入学後にオリジナル楽曲を作り始めた。81年に上京し、コンテストに出場したのをきっかけとして87年4月に「テレビの中に」でデビューした。

 90年7月に発売したアルバム「野球選手が夢だった。」に収録された「愛は勝つ」は、フジテレビの人気番組「邦ちゃんのやまだかつてないテレビ」の挿入歌に起用されたことで、売り上げ200万枚超えのダブルミリオンとなった。翌91年に日本レコード大賞のポップス・ロック部門の大賞を受賞、NHK紅白歌合戦への初出場も果たした。

 11年の東日本大震災や新型コロナウイルス禍では、KANさんと所属事務所のタレントで「愛は勝つ」をリモート歌唱。♪心配ないからね…と歌い始め、♪信じることさ、必ず最後に愛は勝つ…と人々を励ます歌詞は、日本中に勇気を与え続けた。


 ◇KAN(かん)本名木村和=きむら・かん。1962年(昭37)9月24日生まれ、福岡市出身。中学時代は軟式テニス部に所属も、バンドを結成したことでブラスバンド部に転部。事務所所属後の初仕事は映画「おかしなふたり」のサウンドトラック製作。99年にバイオリニストの早稲田桜子さんと結婚。01年から音楽活動を休止しフランスに移住。03年に現地の音楽学校に入学、04年の帰国後から活動再開。

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