「ブギウギ」小林小夜役　演じる富田望生は日本一もんぺ姿が似合う役者！？

　【牧　元一の孤人焦点】NHK連続テレビ小説「ブギウギ」で、俳優の富田望生（23）がヒロイン・スズ子（趣里）に弟子入り志願した小林小夜を演じている。 　富田は2019年の連続テレビ小説「なつぞら」でヒロイン・なつ（広瀬すず）の親友・良子役を演じたが、今回、スズ子役のオーディションに参加していた。

　制作統括の福岡利武氏は「『なつぞら』でご一緒して富田さんのことをよく知っていました。今回のヒロインオーディションで魂の熱いお芝居を見せていただき、心を揺さぶる素敵な役者さんだと思いました」と話す。

　いまドラマで描かれているのは日本の戦争の時代。スズ子は厳しい環境の中で、もがきながら歌手活動を続けて行く。

　福岡氏は「スズ子が苦しい時代を若い女性とともに進んでいくという流れを考えました。それで、根はいい子だがスズ子をひっかき回すという小夜のキャラクターをつくりました」と明かす。

　11月28日放送の第42回に、小夜がスズ子に対し、福島ことばで「おれを弟子にしてくんちぇ」と思いを語って土下座する場面があった。

　福岡氏は「偶然、櫻井剛さんが脚本に福島ことばのセリフを書いていたんです。そのイメージが福島出身の富田さんに不思議なくらいぴったりでした。富田さんのスケジュールを確認したところ、なんとか大丈夫そうだったので、お願いしました。何の疑問もなく自然に決まった感じでした」と富田の小夜役への起用理由を説明する。

　スズ子は戦後間もない頃に「東京ブギウギ」をヒットさせた歌手の笠置シヅ子さん、作曲家の羽鳥善一（草なぎ剛）は服部良一さんをモデルにしているが、小夜には具体的なモデルが存在しない。

　福岡氏は「このドラマを制作するに当たって取材した要素を取り入れました。笠置さんのところにはいろんな若い人が相談に来ていて、笠置さんは面倒見が良く、困っている人がいれば見捨てることなく親身になって世話をしていたという話を聞きました」と語る。

　小夜を演じる富田の表情はとても豊かだ。スズ子に弟子入り志願する場面で、スズ子から優しい言葉を掛けられると、小夜はそれまでの必死の形相から一転して喜びにあふれた笑顔を見せた。

　福岡氏は「富田さんは感情的なお芝居がお上手です。何とも言えないかわいげがある。喜怒哀楽の表現が、やり過ぎず、やらなさ過ぎず、ちょうど良い。戦争が進むと、もんぺ姿になりますが、『日本一もんぺ姿が似合う役者』なんじゃないかと思います。この先もどんどん小夜ちゃんに引き込まれていくでしょう」とほほえむ。

　今後の登場シーンに注目したい。

　◆牧　元一（まき・もとかず）　編集局文化社会部専門委員。テレビやラジオ、音楽、釣りなどを担当。