加藤シゲアキ 2作連続で直木賞候補「自信作でもあります」 3年ぶり長編小説「なれのはて」
2023年12月14日 05:00
芸能
次作が待ち望まれる中で生み出した3年ぶりの長編小説。高校生限定のSNSをめぐり登場人物の運命が交錯する青春群像劇だった前作から一転、今回は戦争や家族、芸術とさまざまなテーマを織り交ぜた社会派作品となった。
構想から約3年をかけて完成させた、原稿用紙740枚を超える大作。一枚の不思議な絵の謎を通して人間の業に向き合いながら力強く生きようとする人々を描いた。莫大な量の取材を元に書き上げた一作。「自分でも良くやったなとは思うんですけど、自信作でもあります」と手応えを語った。
東京、新潟とともに舞台となるのが、加藤の母の地元・秋田。78年前の終戦前夜に同地で起きた日本最後の空襲と言われる土崎空襲が物語のきっかけとなる。
執筆をきっかけに祖母の戦争体験を聞いた。「こういう事を書いて伝えていく事は大事だし、祖母から実際に戦争体験を聞けただけでもこの作品を書いた意味があった」と語った。
ノミネートを聞いたのは、来週東京ドームで行われるグループのデビュー20周年記念ライブのリハーサル中。「マネジャーに呼ばれまして電話を代わったら、“直木賞の候補になりました”と言われました」と明かす。
加藤の様子をめざとく見ていたのが小山慶一郎。加藤は「僕が急に抜けたもんですから小山に“なんかあった?”と(言われた)。なので、もう犯人見つかったみたいな感じになって、“すみません、実は直木賞候補になりました”と内々に伝えさせてもらった」と振り返った。小山も増田貴久も喜んでくれたといい「おめでとうって言われて、ありがとうって返した」と語った。
アイドルとしても活躍。作家業との両立の難しさを聞かれると「書き始めてから12年なので両立している事が普通になってきてしまった」と規格外の回答。今後についても「締め切りとかには追われるんですけど、仕事をセーブする事はありませんし、できうる限りはどっちも続けたい」と意欲を示している。
前作が候補に選ばれた第164回直木賞で選考委員を務めた北方謙三氏は「受賞させようという機運をまとった意思は2、3あった。私もその一人」と高く評価。「(表現が)冗漫ではないかという意見もあった。もう一作くらい待ってみようということでした」と、期待を込めての受賞見送りだったことを明かしている。その次作に当たる「なれのはて」で、今度こそ快挙達成となるか、注目される。
◇加藤 シゲアキ(かとう・しげあき、本名・加藤成亮=しげあき)1987年(昭62)7月11日生まれ、大阪府出身の36歳。99年に入所。03年にNEWSのメンバーとしてデビュー。10年3月に青山学院大学法学部を卒業。NHKBS「あきない世傳(せいでん)金と銀」に出演中。血液型A