巨匠の写真が1面に 五輪を取材したい熱望がかなった日 アトランタ五輪

2024年01月06日 05:20

芸能

巨匠の写真が1面に 五輪を取材したい熱望がかなった日 アトランタ五輪
96年7月29日付 アトランタ五輪女子マラソンで有森裕子が銅メダル  Photo By スポニチ
 96年のアトランタ五輪に本紙特派カメラマンとして飛んだ篠山さんに同行した。
 「一度はどうしても五輪を取材してみたい」と熱望していた巨匠の願いが実現した形だが、アトランタに到着しても2、3日はなじめない様子だった。

 「昔、ブラジルに行った時も空気を読めずに数日は撮れなかった。それがサンバのリズムをつかむと撮れるようになったんだ。君もアトランタのリズムと空気を早くつかまえた方がいいよ」

 巨匠の言葉が耳に残る。大会の前半は水泳を取材。対象を誰にするか、現地と本社の打ち合わせがスムーズにいかないときもあったが、篠山さんは「決まったことだけ僕に伝えてくれ。決まっていないことはいい」とピシャリ。この言葉が私の金言になっている。

 後半は陸上に専念。日増しに目が輝いた。100メートル、200メートルの決勝前の選手の表情に狙いを定めて何枚も素晴らしい写真をものにした。女子マラソンではスタジアムに陣取り、ゴールの瞬間を狙った。

 有森裕子が3位で飛び込んできた。銅メダルを獲得し「初めて自分を褒めたい」の名セリフがここで生まれた。涙の有森。篠山さんが撮った写真がスポニチの1面を飾った。巨匠の笑顔がはじけ、自分もうれしかった。(写真映像部 久冨木 修)

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