【王将戦】藤井王将 大谷に通ずる王将道 スポニチ元日付対談 栗山流に共感

2024年01月07日 05:00

芸能

【王将戦】藤井王将 大谷に通ずる王将道 スポニチ元日付対談 栗山流に共感
前夜祭会場の那須野が原ハーモニーホールで記念撮影をする菅井八段(左)と藤井王将(撮影・藤山 由理) Photo By スポニチ
 将棋の第73期ALSOK杯王将戦7番勝負(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)は7日、栃木県大田原市のホテル花月で始まる第1局で開幕する。6日は同市で前夜祭が行われた。昨年10月に史上初めて8冠になった藤井聡太王将(21)が独占を維持するか、18年度に失った王位以来のタイトル獲得を挑戦者の菅井竜也八段(31)が果たすか。居飛車党と振り飛車党の第一人者が2日制で初めて激突する。
 前夜祭は異例の黙とうから始まった。前期は第3局があった金沢市などを襲った能登半島地震。「被災された方にお見舞い申し上げたい。対局できることに感謝しながら全力で臨みたい」。藤井は前夜祭会場を埋めた700人ものファンに驚きつつ、将棋盤へ向かう集中力を高めた。

 7番勝負には王将3連覇と同時に、初タイトルから失敗なしでの20期連続獲得が懸かる。そして今回、振り飛車党の第一人者を2日制で初めて迎え撃つ。

 「局数自体が少ない。懸念材料かなと思う」。藤井の今年度33勝6敗(未放映のテレビ対局を除く)のうち、戦型が振り飛車になったのは6局のみ。5勝1敗を誇るが、うち4局は菅井との昨春叡王戦で、対抗型を指しこなす菅井との経験値は大きく劣る。菅井が挑戦を決めた昨年11月下旬以降、AIなどを相手に習熟度を高めてきた。

 藤井は本紙元日付の紙面企画で栗山英樹氏と対談した。昨春のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で侍ジャパンを3度目の世界一へ導いた名将と向き合い、共感したのが、勝利と育成を両立させる難しさと価値だったという。

 「監督はチームを背負って采配を振る。勝つことを期待される一方、チームを長期的に強くすることも求められる。棋士も短期的結果を強く意識してしまうことは自然だが、長期的に強くなることも大事。一歩引いた視点も持っておくべきと感じた」

 対談後、栗山氏の教え子の大谷翔平はドジャースとスポーツ界史上最高の10年総額7億ドル(決定時約1015億円)で契約した。7億ドルについて聞くと、長考の末「想像がつかない?そうですね」と苦笑いだったが「大谷選手は栗山さんの指導の下、超一流選手になられたのかなと思う」とも指摘。対談を経て、以前からあった思いがより確信へと変わり「心掛けていたが、対談の機会を頂いて大切さを感じた」。将棋に置き換えれば勝利と将来への備えだろうか。二律背反しかねないテーマの両立へ、3連覇と共に思いを強くした。


 <藤井王将に聞く>
 ――7番勝負に向けての意気込みは?

 「振り飛車のスペシャリストである菅井八段との対戦。昨年の叡王戦でも苦戦したので、大変なシリーズになる。中盤の戦い方がうまく、序盤から想定しきれないところはあると思う。いかにバランスを保っていくかが大切になる」

 ――大山康晴15世名人のタイトル戦連勝記録は意識している?

 「記録自体は意識はしていないが、偉大な実績の方と並ぶことができて光栄。ですが大山先生はタイトル戦連続出場50回など、他にも途方もない記録もあるので(笑い)」

 ――8冠を長く保持していきたいか?

 「どの対局も全力で臨むが、防衛できるかは分からない。長く保持したいとは思っていないので、それぞれのタイトル戦にしっかり臨むことを第一に考えている」

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