【王将戦】藤井王将 大谷に通ずる王将道 スポニチ元日付対談 栗山流に共感
2024年01月07日 05:00
芸能
7番勝負には王将3連覇と同時に、初タイトルから失敗なしでの20期連続獲得が懸かる。そして今回、振り飛車党の第一人者を2日制で初めて迎え撃つ。
「局数自体が少ない。懸念材料かなと思う」。藤井の今年度33勝6敗(未放映のテレビ対局を除く)のうち、戦型が振り飛車になったのは6局のみ。5勝1敗を誇るが、うち4局は菅井との昨春叡王戦で、対抗型を指しこなす菅井との経験値は大きく劣る。菅井が挑戦を決めた昨年11月下旬以降、AIなどを相手に習熟度を高めてきた。
藤井は本紙元日付の紙面企画で栗山英樹氏と対談した。昨春のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で侍ジャパンを3度目の世界一へ導いた名将と向き合い、共感したのが、勝利と育成を両立させる難しさと価値だったという。
「監督はチームを背負って采配を振る。勝つことを期待される一方、チームを長期的に強くすることも求められる。棋士も短期的結果を強く意識してしまうことは自然だが、長期的に強くなることも大事。一歩引いた視点も持っておくべきと感じた」
対談後、栗山氏の教え子の大谷翔平はドジャースとスポーツ界史上最高の10年総額7億ドル(決定時約1015億円)で契約した。7億ドルについて聞くと、長考の末「想像がつかない?そうですね」と苦笑いだったが「大谷選手は栗山さんの指導の下、超一流選手になられたのかなと思う」とも指摘。対談を経て、以前からあった思いがより確信へと変わり「心掛けていたが、対談の機会を頂いて大切さを感じた」。将棋に置き換えれば勝利と将来への備えだろうか。二律背反しかねないテーマの両立へ、3連覇と共に思いを強くした。
<藤井王将に聞く>
――7番勝負に向けての意気込みは?
「振り飛車のスペシャリストである菅井八段との対戦。昨年の叡王戦でも苦戦したので、大変なシリーズになる。中盤の戦い方がうまく、序盤から想定しきれないところはあると思う。いかにバランスを保っていくかが大切になる」
――大山康晴15世名人のタイトル戦連勝記録は意識している?
「記録自体は意識はしていないが、偉大な実績の方と並ぶことができて光栄。ですが大山先生はタイトル戦連続出場50回など、他にも途方もない記録もあるので(笑い)」
――8冠を長く保持していきたいか?
「どの対局も全力で臨むが、防衛できるかは分からない。長く保持したいとは思っていないので、それぞれのタイトル戦にしっかり臨むことを第一に考えている」