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【1971年3月】知床旅情/加藤登紀子 初キスの後に…ヒット曲に隠された想い出

2012年03月16日 06:00

芸能

 ★71年3月ランキング★
1 知床旅情/加藤登紀子
2 ナオミの夢/ヘドバとダビデ
3 花嫁/はしだのりひことクライマックス
4 空に太陽がある限り/にしきのあきら
5 望郷/森進一
6 雪が降る/アダモ
7 京都慕情/渚ゆう子
8 女の意地/西田佐知子
9 さいはての女/藤圭子
10 おんなの朝/美川憲一
注目雨がやんだら/朝丘雪路
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【知床旅情/加藤登紀子】

 しょぼくれた中年男のために歌った歌――。レコード売り上げ80万枚を記録した、大ヒット曲「知床旅情」がヒットチャートの1位を独走している当時、加藤登紀子はこの歌をそう位置付けた。

 「俺たちのことを思い出しておくれ のんで騒いで…」。家庭でも会社でも相手にされない、男の悲哀を表した歌詞がそこにはあった。60年代に森繁久弥が歌った頃はそんな意味で作ったわけではなかったが、高度経済成長も一段落した70年代に入ると、聞きようによってはサラリーマンの哀しさを歌っているようにも聴こえた。

 加藤がこの曲と出合ったのはレコード発売の3年前。後に夫となる学生運動のリーダー、藤本敏夫さんと初めて唇を交わした後、藤本さんが突然森繁版の歌を口ずさんだ。その後、加藤が全国のご当地ソングを集めて「日本哀歌集」というアルバムを制作することになり、そこでピックアップされたのが「知床旅情」。加藤からの推薦だった。

 70年11月1日にアルバムからシングルカットして発売されたが、当初は「西武門哀歌」のB面扱い。ところが、北海道を中心に有線放送やラジオ局が流すようになると、評判が良く、年明けの1月には、AB面をひっくり返して、再度リリース。これが大当たりした。

 子供の頃は人と話すのが苦手で音楽の成績は良くなかった。両親が心配して、バレエとともに歌の教室に通うようになったが、高校に入って音楽の先生に低い声を「いいアルトだ」と褒められるまで、、ラジオに出演して童謡を歌っていた姉に対するコンプレックスを感じていた。

 東大に現役合格した後、「日本アマチュアシャンソンコンクール」で優勝。これで歌手として生きていく決意をした。66年「赤い風船」で日本レコード大賞新人賞を受賞。69年、自作の「ひとり寝の子守唄」がヒット。当時の世相を反映して、哀愁を帯びた歌詞が学生運動に身を投じながらも、どこか寂しげな“闘士”の心に突き刺さった。

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