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【1970年10月】京都の恋/大ヒットで結婚できなくなった渚ゆう子 38年後に…

2011年10月05日 06:00

芸能

 ★70年10月ランキング★
1 京都の恋/渚ゆう子
2 手紙/由紀さおり
3 走れコウタロー/ソルティー・シュガー
4 命預けます/藤圭子
5 噂の女/内山田洋とクールファイブ
6 愛は傷つきやすく/ヒデとロザンナ
7 X+Y=LOVE/ちあきなおみ
8 男と女のお話/日吉ミミ
9 私生活/辺見マリ
10 銀座の女/森進一
注目愛のきずな/安倍律子
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【京都の恋/渚ゆう子】

 これが最後、この曲を思い出にお嫁に行こう。24歳の歌手、渚ゆう子はそんな気持ちで大阪から再度上京し、レコーディングに臨んだ。それが有線放送から火が付き出し、夏の終わりごろからレコードも売れるようになり、秋にはスケジュールがびっしり。とても婚約、結婚とは行かない状況になり、結局男性と別れざるをえなくなった。

 70年5月発売の「京都の恋」は、米国でエレキブームを巻き起こした、インストグループ「ザ・ベンチャーズ」か日本の歌謡曲風の味付けをして作曲。イントロや途中にき京琴を入れるなどの日本のそれとは違うアレンジが受けて気が付けばレコード売り上げ86万枚の大ヒットとなった。

 GSブームで一時期の人気がなくなっていたベンチャーズはこれで日本で復活。以後、渚が歌った以後「京都慕情」「長崎慕情」をはじめ、欧陽菲菲(オーヤン・フィーフィー)が歌った「雨の御堂筋」がヒット。日本の歌謡界に偉大な足跡を残した。

 芸能界入りしてから1年後に、和田弘とマイナスターズの前座を務めていた渚。和田らの勧めで上京し、作曲家の浜口庫之助の門弟となり、ここでハワイアンを学んだ。

 ハワイアン歌手として芸名も久葉真鶴(くば・まづる)から渚ゆう子に改名。「早くキスして」でデビューしたが鳴かず飛ばず。全国キャンペーンも展開したが不発に終わった。ハワイアンでのヒットをあきらめかけ、芸能界引退も考えていた時に来た話がベンチャーズサウンドでのこの曲。ハワイアンで鍛えた澄み切った高音とリズムの良さで大ヒットにつながった。「キャンペーンに行って待遇が変わった。ビールケースをステージ代わりに歌っていたのが、必ず即席でもステージを作ってくれた。自分の足で行動していたのに、最寄り駅に着けばお迎えも来てくれた。ヒット曲があるというのはこうも違うのかと思った」。

 恋人とも別れ、その後オフのない日々が3年近く続いた。「異常低血圧症」にもかかり、ステージに立つ前にはブランデーを酔わない程度に飲んで、血圧を上げないと歌えなかった。その後見合いを数回したが、縁がなかった。ヒットの代償はあまりにも大きかった。

 しかし、08年に38年前に別れた恋人と再会。老後を一緒にと約束しあった。ドラマのような人生である。
 

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