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【1976年11月】あばよ/7年目 ようやく歌手として認められた研ナオコ

2011年11月06日 06:00

芸能

 ★76年11月ランキング★
1 あばよ/研ナオコ
2 北の宿から/都はるみ
3 パールカラーによれて/山口百恵
4 落ち葉が雪に/布施明
5 青春時代/森田公一とトップギャラン
6 ドリーム/岩崎宏美
7 どうぞこのまま/丸山圭子
8 最後の一葉/太田裕美
9 四季の歌/芹洋子
10 揺れるまなざし/小椋佳
注目想い出ぼろぼろ/内藤やす子
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【あばよ/研ナオコ】

 1位になるまでに7年かかった。しかも歌手として認められるまでに、コメディアン扱いされたこともあった。

 「タレントとしては三枚目だけど、歌手としての研ナオコは二枚目で行きます」。CMやコント、舞台でみせるコミカルな芸風とは百八十度違う、けだるさをかもし出しつつ歌う表情は女のやるせなさ、寂しさを見事に表現。そのギャップと中島みゆきが作詞作曲した作品が、レコード売り上げ65万枚という研最大のヒット曲につながった。

 「美人しか写さない」のキャッチフレーズで大笑いしたカメラのCMで一躍有名になった研を見て中島みゆきが思ったことは「あれだけ人を笑わせることができるんだから、泣かせることもできるんじゃないか」だった。案の定、研が歌った男に捨てられた女をの心を描写した「あばよ」は女性を泣かせた。

 他人ばかりでなく、研本人もこの歌で泣きじゃくった。年末にかけて行われる各種歌謡賞に軒並みノミネート。そんな経験がなかったため、会場で自分の名前が呼ばれるたびに目から熱いものが流れ出た。そのためにせっかくメークしたアイラインが崩れ“黒い涙”が滴り落ちた。

 NHK「紅白歌合戦」にも初出場。前の年は静岡の実家に帰って、冷めた目で見ていた大みそかの芸能界の大イベントに自分が出場することで「ようやく“あそこの家の娘も大したもんだ”って、田舎でも言ってもらえるかな」と笑顔を見せた。

 歌手になりたくて高校を1年で中退して上京。東京・日比谷の映画館で案内係などのアルバイトをしながらチャンスをうかがった。1年後に歌唱力が認められデビュー。しかし、歌手一本ではなかなか食べていけず、そのキャラクターの面白さからCMやコメディーに活躍の場を広げて生き残ってきた。ただ本業は歌手、という誇りだけは忘れなかった。その思いが通じて、歌い手としてスポットライトを浴びた。

 その後も「かもめはかもめ」「夏をあきらめて」と、女の寂しさを歌わせたら、この人という歌手に。それとは逆の明るさは健在で、芸能界でも貴重な存在といえる。

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