【有馬記念】アーモンド100点!“スマイル全快”シンデレラ伝説戴冠へ

2019年12月17日 05:30

競馬

【有馬記念】アーモンド100点!“スマイル全快”シンデレラ伝説戴冠へ
<有馬記念>アーモンドアイは熱発の影響を感じさせない体の張り(撮影・郡司 修) Photo By スポニチ
 【鈴木康弘「達眼」馬体診断 】 グランプリを背負うのはターフのスマイリングシンデレラだ。鈴木康弘元調教師(75)がG1出走馬の馬体を診断する「達眼」。第64回有馬記念(22日、中山)ではアーモンドアイに唯一、満点をつけた。達眼が捉えたのは熱発の影響をみじんも感じさせない体の張り。プロゴルファー渋野日向子ばりの驚異的な回復ぶりだ。今年のスポーツ界を席巻したアスリートになぞらえて採点上位馬のボディーを解説していく。 【有馬記念
 今年のゴルフ界を席巻した渋野日向子が体調不良による発熱を明かしたのは8月のLPGAツアー「北海道meijiカップ」2日目でした。ツアー初日の夜に38度超まで上がりましたが、薬と栄養を取って10時間眠ったところ、翌朝には平熱に回復。2日目は得意の後半9ホールで3バーディーを奪う猛チャージで優勝争いに加わりました。「もう元気になりました」。普段以上に明るい笑顔に「本当に高熱を出したの?」と疑う向きもあったそうです。

 アーモンドアイの馬体に発熱明けの“しぶこスマイル”を思い出しました。今年の競馬界を席巻した女傑が熱発したのは11月29日夕方。体温が38度6分に上昇したそうです。平熱が38度程度なので微熱の範囲。翌30日朝には平熱に戻りましたが、香港遠征は大事を取って取りやめとなりました。そんな経緯があっただけに体の隅々までチェックしてみると…。ふっくらした腹周り、力強い首差し、弾力性のある筋肉で盛り上がった肩と後肢(トモ)、しなやかな背中のライン、大きな肺や心臓を収容する牡馬のように深い胸…。

 本当に熱発したの?と疑いたくなるほど張りに満ちた馬体です。競走馬は人間以上に熱発のダメージが大きいもの。微熱でも消耗するので体の張りを失います。2週間くらいで完全に戻り切るものではない。ところが、競馬界のしぶこは100%回復している。いや、120%の回復と言ってもいい。天皇賞・秋以上に張りがあるからです。その競走能力同様、人知を超える驚異的な回復です。
 しかも、この季節になっても冬毛が交じらず、毛ヅヤの輝きを保っている。スマイル・シンデレラのように美しい。出産という大仕事を受け持つ牝馬は体を冷やさないよう牡馬よりも早く冬毛を伸ばす傾向があります。冬毛を見せないのはよほど新陳代謝が活発なのでしょう。

 体調は完璧。あとは初の中山コースに対応できるか。フルゲート16頭の位置取りを巡る攻防が激しくなる小回り舞台。馬群でごちゃつく展開を乗り切るには強い精神力が求められる。成るか成らぬか目元で知れるといいます。アーモンド形の目は成ると主張しています。秋の天皇賞時と同じ闘争心を宿した目。射すくめるような鋭い眼光には狭い馬群も割れるような、体当たりされてもはね返せるような強いハートがうかがえます。しぶこスマイルに包まれた負けず嫌いな女勝負師の瞳のように…。馬のしぶこは1強グランプリを背負える競馬界のシンデレラです。(NHK解説者)

 ◆鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の75歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94~04年に日本調教師会会長を務めた。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなど27勝。今春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。

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