【京都牝馬S】“レジェンド”久保助手がドナウデルタで最後の大勝負!
2020年02月21日 22:40
競馬
アグネスワールドは日本馬として初めてイギリスの重賞を制覇。「バネの利いたキャンターは本当に凄かったし、ああいう馬にはもう巡り会えないやろうね」と懐かしむ。G19勝のヴァーミリアンでは喜びの反面、悔しい思いをした。絶頂期だった6歳時のドバイワールドCは、レース中に他馬が蹴り上げた土の塊が両目を直撃して、最下位の12着。「獣医が洗浄と点眼を繰り返して、レースの2日後にようやく両目のまぶたを開けるようになった」というほどのダメージを負った。かつての相棒は北海道のノーザンホースパークで乗馬として活躍中。「暖かくなったら会いに行くよ」と再会を心待ちにする。
その前に助手生活最後の大事な一戦が控えている。土曜の京都牝馬Sにドナウデルタで参戦。父ロードカナロア、母は重賞2勝ドナウブルーという血統馬。3歳時の大目標だった桜花賞出走は逃したが、昨秋から3連勝でオープンまで駆け上がってきた。
「体つきが変わってきたね。前は女の子って感じやったけど、今はボリューム感があるし、特にトモが凄い。こういう風に成長してくる馬は走るんだ。ベストの1400メートルを使えていることも大きいと思うよ」
自分の手でレースに連れて行くのは今回がラスト。「うまくいけばG1も勝てると思う。ただ、1400メートルのG1はないからな。そういうところはケンザンと似てるかな」と苦笑いを浮かべつつ、さらなる活躍を約束した。春の大舞台に向けて最低でも賞金加算、願わくば勝って通過点としたい一戦。別れを惜しむのはレースが終わってから。百戦錬磨の仕上げ人の、最後の大仕事を期待したい。
◇久保 卓也(くぼ・たくや)1955年(昭30)3月19日生まれ、京都市左京区出身の64歳。サッカー少年だった中学生の頃、近所に同志社大馬術部があった縁で馬に親しみ、18歳で栗東トレセンへ。戸山為夫厩舎、森秀行厩舎を経て石坂正厩舎に移り、40年以上のキャリアを誇る。これまでフジヤマケンザンやアグネスワールド、ヴァーミリアンといった名馬に携わってきた。今年3月いっぱいで定年を迎える。