「いつか英国で…」武藤の向上心と成長
2020年08月07日 05:30
競馬
先乗りしていた私が彼と落ち合ったのは8月8日。ロンドン・ヒースロー空港まで迎えに行き、彼を拾うとそのまま車で約1時間半かけてニューベリーという小さな街へ移動した。
そして翌朝早く、この地で開業する女性調教師のJ・ホートン厩舎を訪ねた。ここには直前にロイヤルアスコット開催のクイーンアンS(G1)を制したアクシデンタルエージェントがいた。同馬や広大な調教場を見ながら、若い日本人ジョッキーは女性調教師に質問を繰り返した。最後はホートン調教師から「乗れるようになったらいつでも私の厩舎に来なさい」と言われ、笑顔で「ありがとうございます」と答えていた。
その後、4時間ほどかけて競馬の聖地ニューマーケットへ移動。ここでは本場の調教を見学すると、さらに翌日にはアスコット競馬場へ移動。武豊騎手やJ・モレイラ騎手ら世界中から集った名騎手によるシャーガーCを観戦した。
「今回は凄く刺激になりました。一日も早く復帰したいし、いつかは英国の競馬に乗ってみたいと思いました」
武藤騎手は目を輝かせてそう語った。帰国して、約1カ月後の9月15日に彼は戦列に復帰。長期の戦線離脱があったにもかかわらずこの年は前年を上回る37勝。昨年はさらにそれ以上の39勝を挙げると、減量特典のなくなった今年も変わらぬペースで勝ち続けている。近い将来、海の向こうで乗れるよう、さらなる活躍を期待したい。(フリーライター)