【スプリンターズS】グランアレグリア100点!昨春桜花賞、今春安田に続き心身成熟“三季咲き”
2020年09月29日 05:30
競馬
牝馬とは思えないパワーみなぎる馬体。今春には未発達だったキ甲(首と背の間のふくらみ)が抜けて、首や肩、トモの筋肉量が増えたと指摘しました。それから半年を経て、一層厚みが増しています。二季咲きの秋明菊の大輪のような大きな筋肉が前後肢にバランス良く付いている。腹周りも分厚くなった。太めには映りません。腹袋までたくましくなったのでしょう。
立ち姿は秋の日だまりに咲くコスモスのように穏やかなたたずまい。涼しい顔をしながら、ゆとりを持たせた引き手綱をゆったりと受けています。後ろから吹きつける風が尾の先端を股の間にくぐらせても、どこ吹く風の余裕の表情。四肢にバランス良く体重を乗せて大地を踏みしめています。
引退まで1年半を切った藤沢和雄調教師が手掛ける晩年の傑作。馬は撫で柄といいます。良しあしは育て方次第との意味。花も同じでしょう。つぼみの時期に温めすぎないことが花の二季、四季咲きの条件なら、競走馬は攻めすぎないことです。今秋のグランアレグリアを花言葉で表すなら「成熟」。心身の成熟が三季咲きを告げています。(NHK解説者)
◆鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の76歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94~04年に日本調教師会会長を務めた。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなど27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。