【セントポーリア賞】グレートマジシャン、陣営ビックリ初陣Vもう一丁 ルメール絶賛「凄く走る」
2021年01月26日 05:30
競馬
独オークスなどドイツでG1・2勝を挙げた名牝ナイトマジックの子。ディープインパクトを父に持つフォイヤーヴェルク(7歳時の20年新潟ジャンプSで重賞初制覇)など5頭の全兄、全姉はいずれも遅咲きだ。しかも、3月に出産のピークを迎えるサラブレッド生産で5月の遅生まれ。気性が幼いせいで2歳時は牧場でも美浦トレセンに入厩してもソワソワして落ち着かない。ゲートの中でもおとなしく駐立できない。そのため覆面を着用してきた。
だが、馬場に脚を踏み入れた途端、魔術にかかったように長い四肢を柔らかく弾ませる。「デビュー前からWコースで2勝クラスの古馬を併せ馬であおっていました。大きなフットワークには素質を感じます。中間は背中の芯が太くなって、さらにパワーアップ。2歳時には動けなかった坂路でもしっかり走れるようになった」と宮田師。20日の1週前追い切りでも坂路で馬なりのまま4F51秒8を出した。「幼さが残っているし、右前のソエ(若駒特有の管骨の痛み)も固まっていないので無理はさせられません。晩成血統にこの時期、100%を求めてはいけないと思っています」。国枝師の弟子にあたる新進トレーナーの見識である。
モーツァルトの歌曲「魔術師」が完成したのは今から236年前、グレートマジシャンの誕生日にあたる5月7日だった。♪彼に初めて出会った時、今まで感じたこともない何かを感じた…彼はきっと魔術師…(歌詞抜粋)。母ナイトマジックの重厚な欧州血統にディープインパクトを掛け合わせたため、日本の軽い芝でもマジック(魔術)を使える。鍵盤のタッチが軽やかなモーツァルトのピアノソナタのようにターフを軽快に刻む覆面の魔術師。彼が感じさせるのはクラシック級の素質だ。
▽セントポーリア賞 90年以降、東京芝1800メートルか2000メートルで行われてきた3歳1勝クラスの特別戦。優勝馬にはのちの有名馬が多数。95年優勝のジェニュインはここから3連勝で皐月賞を制覇。15年ドゥラメンテは共同通信杯2着を挟み、皐月賞、ダービーの2冠制覇へと羽ばたいた。