【共同通信杯】キングストンボーイ、大人の脚さばき披露 古馬との3頭併せで馬なり堂々
2021年02月11日 05:30
競馬
来年2月で70歳定年を迎える同師にとって今春が最後のクラシック。「最後、最後って、そんなに俺をやめさせたいのか!」と笑うが、最後を託せるだけの素質を感じている。「早くから使えた健康な馬だし、素晴らしいフットワークをしている。上(皐月賞馬エポカドーロ)は気性が激しかったが、こちらは素直だ」。健康、気性、フットワーク…同師が挙げる一流馬の条件を全て満たしている。
啄木鳥(きつつき)の子は卵からうなずくという。才能は幼い時から自然に表れるとの意味。キングストンボーイも競走馬の卵時代から素質を示してきた。「凄いエネルギーを体の奥に秘めている感じ」。札幌競馬場でデビュー前調教を担当した大江原助手は、その乗り味を絶賛した。新馬戦は直線でフラフラ遊びながら差し切った。2戦目のサウジアラビアRCは出遅れた上、不良馬場に集中力を持続できず5着。「幼すぎる。経験が必要です」と主戦ルメールが珍しく藤沢和師に口をとがらせた。だが、前走ベゴニア賞では一転して好スタート。ふらつくこともなく差し切った。「レースを2回経験して大人になりました」とルメールも満足顔。その後は暮れの2歳G1に見向きもせず、放牧でさらなる成長を促した。
「素晴らしい馬。なんとかクラシックに持っていきたい。2歳時は男の子だから子供っぽかったけど、3歳2月としては成長している。経験から学んだよね」。馬も経験から…。日本の名調教師も英国の名女優と同じ言葉で締めくくった。