ターフビジョンには内ラチから外ラチまでを映した異様なレース映像。越後の競馬ファンを大いに沸かせたのは、千直では圧倒的不利とされる内枠1枠1番の14番人気バカラクイーンだ。好発を決めると外へ群がるライバルを尻目に、ただ1頭内ラチ沿いへ一目散。外で叩き合った1、2着馬には屈したが、粘りに粘って3着に食い込んだ。
検量室に引き揚げてきた菅原明は「一瞬やったと思った」と第一声。「指示通りにうまく運べた。持ち時計がある馬なので思い切って行った」と振り返った。若武者に奇策を託した武井師は「上位の馬とは力差があるので、“真っすぐ走ってこい、レース後に叩かれたら調教師のせいにしていいから”と伝えていた」とニヤリ。「他の調教師からは先に作戦を言ってくれればついていったのに…と言われた(笑い)。お客さんが盛り上がってくれて、自分も楽しめたので満足」と話していた。