ピットに上がると待ち構えていた仲間たちにやさしく背中を叩かれ、末永は大粒の涙を流した。逃げる近江を3周2Mまで追い回し、完全に射程圏に入れたラストチャレンジ。果敢にレバーを握って全速差しを狙ったが、大失速で最悪の結果を招いた。
ハンドルを握る右腕一本でボートにしがみつく末永に、3番手の羽野が激突。後続艇も次々と回避し、自身は最下位に終わった。「出足は本当に良かったです。道中は思い切って行き過ぎてしまいました」。初優勝のうれし涙のはずが、後悔とざんげの涙に。「自分はああいうミスが多い。買ってくれたファンや同じレースの皆に申し訳ない。でも思い切ったレースは自分の武器なので、これからは舟を安定させて安心して見てもらえる選手になりたい」。声を振り絞り、今後の精進を誓った。