【追憶のマイルCS】「荒れない」神話崩壊の95年 トロットサンダー稲妻差し、馬連10万超の大波乱に
2022年11月16日 07:00
競馬
そんな期待を打ち破ったのが野武士トロットサンダー。南関東浦和で3歳7月と遅いデビュー。骨折で1年以上の休養を挟んで、JRAに移籍したのは5歳夏。900万級(現2勝クラス)からキャリアアップした遅咲きの馬だ。
「そんなに人気(4番人気、単勝8・5倍)もなかったからリラックスして乗れた」と鞍上の横山典。前半は中団やや後ろの位置取り。「あまりリズムは良くなかった。僕の腕じゃなくて、馬が勝手に走ってくれた」という。
淀の坂を下っていく際、トロットサンダーは闘志をみなぎらせて自らハミを取っていく。横山典は前の空いている直線外に向けて巧妙に誘導した。
「いつもいい脚を使うが、とびきり切れたね。負ける時は脚を余していたが、今日はゴールが遠くに見えた。それも良かったかな」
豪快な伸びでぐんぐん抜き去り、最後に逃げ粘るヒシアケボノをかわして、しぶとく食い下がるメイショウテゾロも封じた。1番人気ビコーペガサスは内枠があだになり終始外から押し込まれる形になって、追い出しのタイミングが遅れて4着まで。武豊は「よく走っていますが、外の馬をいったん行かせないといけなかった。枠の差かな」と敗因を語った。マイルCSの1番人気パーフェクト連対神話はこの年でピリオド。2着メイショウテゾロが16番人気の伏兵だったため、馬連は10万4390円。92年阪神3歳牝馬S(勝ち馬スエヒロジョウオー、馬連12万740円)に次ぐ当時G1史上2番目の高配当決着となった。