【書く書くしかじか】池添兼師、思い出深いベルーガの子2頭で最後の”恩返し”
2023年02月15日 10:05
競馬
開業9年目に松本オーナーから預かったフレンチデピュティ産駒メイショウベルーガ(牝)は厩舎ゆかりの血統となった。08年1月のデビュー戦(12着)から11年天皇賞・秋(右前けいじん帯不全断裂で競走中止)まで通算35戦(7勝)を全力で駆け抜けた。長男・謙一とのコンビで挑んだ10年日経新春杯は後方から鋭く追い込み重賞初制覇。同年秋に京都大賞典で2つ目のタイトルを獲得した。競走馬として本格化ムードを迎えた続くエリザベス女王杯。師は今でも「悔しかったね」と残念そうに振り返る。英国から参戦したスノーフェアリーの2着。ベルーガ自身も外から懸命に脚を伸ばしたが、内からケタ違いの末脚で4馬身先着された。「あの馬がいなければ…と思ったよ。(ベルーガで)G1を獲ることはできなかったけど、6歳までよく頑張ってくれた」とかつての愛馬をねぎらった。
競走馬としても大活躍したベルーガだが、その子供が18日の東西重賞にスタンバイ。師にとってJRAラスト重賞の予定となっている。京都牝馬Sのメイショウミモザは謙一とコンビ再結成で重賞2勝目を目指す。「前走後の休養がいい方に出て、仕上がりはいい。レースで集中力を増すように、再度ブリンカーを着ける予定。今回のレースで繁殖に上がる予定なので、最後にもうひと花咲かせてほしいですね」と期待を寄せる。一方、ダイヤモンドSの19年弥生賞覇者メイショウテンゲンは長期休養明け3走目。「屈腱炎で長く休んでいたが、動きは良くなっている。松本オーナーの馬でG1を勝つことはできなかったが、最後に恩返しができればいいね」と力を込めた。座右の銘でもある「努力に勝る天才なし」。最後までひたむきに競馬と向き合う師のホースマン人生の集大成に注目したい。