「奇をてらったわけではない」バブルガムフェローの挑戦
2024年03月15日 05:05
競馬
近年でこそ21年のエフフォーリアや翌22年のイクイノックスなど、3歳馬が勝つ例も増えてきたが、先述した通り、当時は若駒が秋の盾を勝つどころか、取りに行く例すらほとんどない時代。同レースは87年に3歳馬に再開放されたわけだが、勝利したのは開放10年目のこのバブルガムフェローが初めて。その後も02年のシンボリクリスエス(これもまた藤沢和厩舎)まで3歳で古馬を撃破する馬は皆無。そのくらいまれなケースだった。しかし、本当に驚かされたのは、バブルガムフェローが朝日杯を制した時点で、藤沢調教師が「来年の秋は菊花賞ではなく天皇賞を狙います」と宣言していたことだ。
今回、この点を問うと、次のように答えた。「バブルは前進気勢が強過ぎたので、長距離は難しいだろうというのが手綱を取った岡部(幸雄)元騎手との一致した意見でした。ならば、重量差ももらえるから天皇賞にしようとなっただけ。何も奇をてらったわけではありません」。とはいえ時代を先取りしていたのは確かだろう。
「いえいえ、馬を最優先に、どこへ行くのが良いかを考えただけですよ」。自分の手柄にはせず、さらりとそう言えるのが伯楽たるゆえんだと改めて感じた。 (フリーライター)