金子達仁氏 注目度低い国内組の台頭がカギ
2022年04月03日 05:30
サッカー
とまあ、アラ還にはたまらん感じで始まった抽選会。ポット2までが決まった段階で、わたしは2つ祈った。一つはすごく強く、もう一つはそこそこ強く。
「C組には絶対に入りませんように。できたら、E組もご容赦いただければ」
C組にはアルゼンチンとメキシコがいた。日本の立ち位置からすると、どんな相手だって格上なのだが、この2チームの中に放り込まれるのだけは勘弁だった。
指向するサッカーに共通点の多いメキシコは、しかし、すべての面でことごとく日本より上にいることを東京五輪で思い知らされた。アルゼンチンには言わずと知れたメッシがいる。日本のようなチームにとって、絶対的な個人のいるチームとの対戦はあまり嬉(うれ)しいものではない。
なので、このグループへの振り分けを免れた時点で、望みの半分は叶(かな)ったも同然だった。可哀相(かわいそう)なサウジアラビア。メッシと、メキシコと、レバンドフスキ。ここに放り込まれていたら、いまごろわたしは寝込んでいた。
なるほどスペインは強いしドイツも強い。日本よりはかなり格上であることに異論はない。ただ、いまのスペインはイニエスタがいたころのスペインではないし、予選でドイツが蹂躙(じゅうりん)したのは弱小国ばかりだった。リヒテンシュタインやアイスランド、アルメニア相手に荒稼ぎした得点や勝ち点を必要以上に恐れる必要はない。よく、アジア予選の強度がうんぬんされるが、ならば、今回のドイツの予選もチームを磨き上げるという点ではだいぶ物足りない。
さらに、4ポット目のチームがコスタリカとニュージーランドのどちらかになったのは、日本にとって悪くないニュースだった。しかも、対戦するのが2試合目ということは、ガチガチに守りを固めてくる可能性は低いことを意味する。もしそういう展開になるとしたら、それは彼らが初戦でスペインを倒した場合のみ、だからだ。実力拮抗(きっこう)した相手とのオープンな展開は、日本として望むところだ。
ドイツですら、まずブンデスリーガでプレーしている選手に注目するだろうし、スペインは久保に目がいくだろう。注目されるということは、丸裸にされるということ。ならば、注目度、警戒度が低くなるであろう、Jリーグでプレーしている選手の台頭がカギを握りそうな気がする。
生真面目なドイツ人は、基本、W杯でも初戦から全力を出す傾向がある。だが、そんな彼らが初戦で、しかも第三世界のチームに苦杯を喫したことが一度ある。
82年6月16日のヒホン。西ドイツに衝撃の一撃を見舞ったのは、40年後の抽選会にレジェンドの一人として参加することになる、アルジェリアのラバー・マジェールだった。 (スポーツライター)
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