Jリーグは何のためにつくったか、30周年の今こそ忘れないでほしい
2023年05月15日 11:42
サッカー
アマチュアの日本サッカーリーグ(JSL)が、限界に来ていたことは確か。プロの欧米と肩を並べるためには経済的にも、選手や指導者だけでなく、リーグそのものをプロ化する必要があった。スタジアムや練習環境、育成などのハード面、グッズなどの販売、運営やファンサービスなどだ。そして、選手の質を高めるためにも競争は不可欠、日本リーグ1部12チーム、2部16チームの計28チームをJリーグの10チームに凝縮することになった。新人もいるので5、6人に1人しかJリーガーになれない計算で、多くの選手が目前でプロになることをあきらめることになった半面、選手の競争がうまれて成長が加速した。
各チームが南米や欧州からジーコ、カレッカ、ディアス、リトバリスキー、リネカーら世界でトップクラスの選手を獲得し、生きた手本にした。これによって、プレーだけでなく、生活のすべてにプロの振るまいが持ち込まれた。鹿島の監督に就任した宮本征勝さんが、「一番変わったのは、選手の喫煙率が減ったこと」と言っていたのが印象的だった。重要だったのは、Jリーグ開幕と同時に日本代表も強化したことだった。「選手がプロになったのに監督がアマチュアでは」と、初のプロ監督としてオフト監督を招へいした。選手の勝利給規程を整備し、勝てばお金がもらえる仕組みができた。Jリーグと日本代表は強化の両輪で、どちらか一方だけでは、これだけのスピードで日本のサッカーが進化することはなかったと思う。
かつては「サッカー日本人には向いていない」と言われたこともあった。「絶対に強くなれる」と信じて突き進んだ人たちがいたからこそ、Jリーグは成功し、日本代表も強くなった。サッカーの進化を止めないためにも、「なぜJリーグをつくったか」を忘れないことが重要だ。
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