「五輪=世界一決定戦」ではない…有力選手辞退で顕在化した矛盾
2016年07月12日 08:15
五輪
五輪の在り方を問う言葉として、少し考えてみる。
1896年の近代五輪開始後から、国際オリンピック委員会(IOC)は、アマチュアリズムを重視してきた。その精神は、少し乱暴に言えば、勝利よりも、参加することに意義があるとの言葉に凝縮される。
「平和の祭典」の別名通り、五輪は友好を深める目的で世界中から選手が集まるお祭りだ。1974年に五輪憲章からアマチュア条項が完全に削除され、商業化、プロ参加が加速したが、IOCは「友情・連帯・フェアプレー・世界平和」のオリンピック・ムーブメントを堅持してきた。
このため、各種目の出場選手は五大陸の代表という原則が守られ、肥大化の防止で選手数も絞られるため、国別の参加枠の関係で出場できない実力者がいる。競技力は大陸ごとに均一ではなく、1国にトップ選手が集中している場合もある。松山が言うのは、五輪は必ずしも、「実力」の世界一決定戦ではないという意味だろう。
ある競技の指導者から「本当に強いのは、世界選手権の王者」と耳打ちされたことがある。参加選手数が多く、実力者がほぼそろう世界選手権。巨大な注目の中で重圧と闘う五輪。いい悪いではなく、両者が異質の大会であるのは事実だ。
松山を含む男子プロゴルファーの大量の出場辞退は、この異質さを浮き上がらせた。サッカー男子はW杯が最高峰。MLBが賛同しない野球は五輪を外れた。ゴルフとともに五輪に復帰するラグビーも、7人制だ。
五輪は最高の栄誉に違いはないが、すべての、特にメジャー競技の選手に、最高のタイトルと認識されているわけではない。この流れは、商業化・プロ参加で求めた五輪のメジャー化と、オリンピック・ムーブメントの矛盾を意味する。
顕在化しつつあるこの矛盾に、IOCはどう折り合いをつけるのか。東京五輪を前に、4年に1度の祭典が過渡期を迎えている。(鈴木 誠治)
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