全英覇者に見た「原点」の大切さ パットの名手、松山復活を待つ

2016年07月19日 10:43

ゴルフ

全英覇者に見た「原点」の大切さ パットの名手、松山復活を待つ
全英オープンで予選落ちした松山、復活が待たれる
 ゴルフの全英オープンでスウェーデン人のヘンリク・ステンソンがメジャー初制覇した。今から3年以上前の13年3月。米ツアーのプエルトリコ・オープンで、初めてステンソンのラウンドを見て「ショットメーカー」という印象を受けた。かつてタイガー・ウッズとしのぎを削ったデビッド・デュバル(ともに米国)のように、インパクトの瞬間、ターゲット方向へ顔を向けるルックアップが特長だ。
 予選ラウンドは石川遼と同組でのラウンド。米本土で世界選手権シリーズが行われる中での“裏開催”の試合には一流選手は出場していない。ただ、頭角を現す前のジョーダン・スピース(米国)が2位に入っていた。12年大会で米ツアー自己最高2位だった石川は、出場選手の中でも世界ランキング上位のステンソンと同じペアリングに入った。海沿いのコースで蒸し暑く、芝生に隠れた小さい虫に脚を刺されまくって「もう2度と来たくない」と思った中、記憶に残っているのがステンソンの3Wの正確性と全ショットの弾道の高さだ。

 1Wがまともにスイングできない「イップス」だったステンソンはパー3以外、全て3Wでティーショットした。実に正確で、飛距離は290ヤード前後の石川の1Wとほぼ変わらない。芯を食えば300ヤードラインまで運んでいた。どんなにフェアウエーが広くても一貫している3Wによる戦略が、当時から強みだった。くしくもその大会では石川と同じ39位に終わっているが、シーズン最後には年間王者の座を射止めた。メジャー制覇した最終日も1Wを使用したのは2回だけ。長年積み上げてきたマネジメントがメジャーの舞台でも輝いた。

 一方、松山英樹をプロデビューから取材して思ったのは「パターのうまい選手」だ。デビュー戦となった13年4月の東建ホームメイトカップはショットを曲げまくりながら10位。じっくりと時間を掛けてラインを読み、誰よりも高い集中力を発揮して長いパットをねじ込む。米ツアーで初優勝した時のケビン・ナ(米国)とのプレーオフも、長いパットを入れて勝負を決めている。6位に入った13年全英オープンもグリーン上で力を発揮した。

 今回の全英オープンもそうだが、あれだけ勝負強かった男が予選落ちを続けていることが信じられない。不振に陥り「何かを替えないといけない」と口にしているという。ステンソンの優勝で感じたことは「原点」の大切さ。ショットの切れる米国での「マツヤマ」にも魅力を感じるが、日本ゴルフ界に旋風を巻き起こした時の、まるで獲物を捕らえるかのような眼をしたパットの名手「松山英樹」の復活を待ちたい。(宗野 周介)

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