石川遼、熊本訪問の意味…被災地の子どもたちに必要なものとは
2016年09月30日 11:00
ゴルフ
その後、教室に移動して子どもたちと一緒に給食を食べて、午後は体育館で「夢を持とう」と題して講演を行った。講演といっても堅苦しいものではない。重永と並んで着席。プロゴルファーになるまでの自らの人生について語る。即席のトークショーだった。
石川が伝えたかったのは様々なことに挑戦し、夢を見つけることの大切さだった。石川自身、水泳、サッカー、陸上、バスケットボールなどゴルフ以外の様々なスポーツを経験してきた。その中からプロゴルファーになるという夢を見つけた。
「それぞれ長く続けることができるものがある。スポーツや勉強でなくてもいいから、みんなにも何かをやってほしい」と訴えた。子どもたちの心にどう響き、後の人生にどんな影響を与えるのか。それは分からない。しかし石川が熊本まで足を運んだ意味は確実にあった。
石川が学校を後にしようとした時、10人ほどの子どもたちが駆け寄ってきた。「帰るの」「また来て」。名残惜しそうな声が聞こえた。手をつかんで離さない。そんな感じだった。みんな弾けるような笑顔だった。
「みんな楽しくやってくれて、来て良かったなと思った。それ以上にパワーをもらった」。石川はそう言ったが、そのパワーを与えたのは石川自身だったのだと思う。
災害や病気によって困難な状況にある時、気に掛けてくれる人の存在がどれほどありがたいか。会いに来てくれる人の存在がどれほど大きな力になるか。そういう立場になるとよく分かる。
石川は被災地訪問を躊躇していた。「どのタイミングで行けばいいのか。何をすればいいのか。考えていた」。自分が行くことで迷惑がかかるのではないのか。そうした危惧も持っていた。しかし、動けばそこに必ずエネルギー、パワーが生まれるものなのだ。子どもたちの笑顔はその証だ。
石川に声を掛けた重永は自身も被災者である。家族が1週間ほど車中泊を余儀なくされた。だからこそ被災した子どもたちに何が必要なのかをよく分かっている。
「(石川)遼や松山のように有名なプロが来てくれると大きい。これからも2回、3回と続けていきたい」。重永はそう言った。ゴルフ界全体が継続的に被災地支援を行っていくことを期待している。
かしこまる必要はない。お土産もいらない。足を運ぶだけでいい。笑顔が増えればそれが支援になる。 (福永 稔彦)
おすすめテーマ
2016年09月30日のニュース
特集
スポーツのランキング
-
羽生 今季初戦フリー演技が「Abema TV」で速報
-
勇太が首位浮上、片岡と並ぶ 1差で谷原 東海クラシック第2日
-
フジ社長 Bリーグ開幕戦視聴率「残念」も沖縄の20%超えで期待
-
スーパーボウル、ハーフタイムショーにレディー・ガガ 来年2・5開催
-
ベンガルズ、地元でドルフィンズ下す WRグリーンが活躍
-
ハーフ終了 谷原が4つ伸ばし単独首位
-
石川遼、熊本訪問の意味…被災地の子どもたちに必要なものとは
-
羽生、公式練習で4回転ループ着氷「最高の状態の70%」
-
救われたヒーロー、そして悲運のエース…事故にまつわるスポーツ選手の運命
-
山県亮太 東京五輪の目標は「9秒57を目指したい」
-
錦織、吉兆!バブリンカ欠場で大会初第1シード 決勝進出100%
-
新十両・小柳「いい経験になりました」 相撲教習所卒業式
-
片男波部屋・玉飛鳥が現役引退、年寄「荒磯」襲名 幕内通算12場所
-
豪栄道「感動大阪大賞」受賞 府知事の期待に「頑張ります」
-
敏京 出遅れ38位 上原49位、さくら70位発進
-
15歳・長野未祈、1差2位発進!「トミー塾」在籍の高校1年生
-
香妻陣一朗が首位発進 プロ4年目、姉・琴乃譲りの強メンタル
-
女子OP、初日からアマ旋風!5位には4人の高校生が集結
-
ボミ まさかの棄権 8連戦で体力限界 疲労ピークで口数少なく
-
笠りつ子、2位も「50点」 難コースで“28度のUT”活躍
-
16歳アマ中島啓太 伸び盛り8位「アンダーパー初めてでうれしい」
-
20歳・森田遥「想定外」首位発進 優勝なら大会最年少記録
-
室伏広治氏 ミズノ退社「今後も日本のスポーツ界に貢献」
-
東京五輪組織委 王貞治氏が新たに理事就任
-
ローマ市議会 24年五輪招致撤退を承認…財政難で