「あと0秒01」で19年…「いつ出てもおかしくない」日本人初の9秒台
2017年05月10日 09:30
陸上
桐生はその後も国内で不利な向かい風を受けながら、10秒08、10秒04と好記録を連発。男子400メートル日本記録保持者の高野進氏(東海大体育学部教授)は「昨季までであれば追い風1・5メートル以上の有利な風が吹けば大台を突破できる能力があったが、今や風の力に頼らなくても自力で出せる領域に入っている」と解説する。今季は「条件」にかかわらず10秒0台の好記録が次々と生まれていることこそ、待ちに待った日本人初の9秒台が現実味を帯び始めている何よりの証拠だろう。
19年前に伊東氏が10秒00をマークしたレースは追い風1・9メートル。2メートルを超えると参考記録になってしまうだけに、当時本人は「風に恵まれた」と冷静な分析を示した上で、大会終了後に「9秒台は手に届くところにある」と意気込んでいた。だが、その後は重圧との戦いで、最後の五輪となった2000年シドニー大会のレースを終えると「9秒台への期待はとても1人では耐えられなかった」と吐露。最終的には02年5月に競技の第一線から退いた。その後も朝原宣治、末続慎吾、江里口匡史、塚原直貴らが9秒台に挑んだが、ことごとく10秒0台止まり。わずか0秒01の壁がこんなにも高いとは19年前に誰も想像しなかっただろう。
今月13日のダイヤモンドリーグ上海大会(中国)では桐生、ケンブリッジ、サニブラウンの3人が対決する。同21日のセイコー・ゴールデングランプリ川崎には山県とケンブリッジが出場。9秒台はあくまでも世界への通過点にすぎないが、日に日に注目が集まっているのも事実。高野氏は「火山の噴火のように現在はマグマが地下にたまっている状況で、一度誰かが突破してしまえばどんどん結果は噴出するはず」とも話す。その瞬間を見逃すわけにはいかない。 (記者コラム・鈴木 悟)
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