高梨沙羅 独占インタビュー 今季不振も…「4年前の自分を見返したい」
2018年01月05日 10:30
ジャンプ
今の高梨は靴の飛ばし方を忘れた子供のようである。ジャンプ選手は助走路の曲線(R)を時速90キロ近いスピードで滑り降りていく。上から押さえつけられる圧力(G)に抗するようにして飛び立つ。だが高梨の現状は、その踏み切りで力が伝わらないでいる。
「調子の良い時はRでGを感じて、それをはね返すだけで踏み切り台に力が伝わるんです。踏み切るって考えなくていい。ブランコに乗っている感じで、グイーン!って飛んでいく。踏み外して飛べない時はRでGを感じられてないことが多い。すんって感じで落ちる。流しそうめんみたいに、すんって」
サーカスの大トリを飾るような大きなブランコの軌道と、誰にもすくってもらえなかったそうめんの軌道を、高梨はそれぞれ手で描いてみせた。
不振の始まりは1年前だったように思える。17年の年明けにドイツで行われたラージヒルのW杯で連勝。ところが帰国後の日本でのW杯でノーマルヒルへの切り替えに戸惑い、5戦連続で優勝から遠ざかった。徐々に歯車が狂い、「踏み外した」「しっくりこない」などのコメントが目立ち始めた。
「あの時は完全にアプローチが狂っていたけど、今はまだそこまでも上げ切れていない。何本かいいジャンプは出るけど、厚みを増すには練習が必要」
今季は合宿でも悪天候のせいで本数をこなせず、感覚的には1年前にも及ばない。フォームの固まらない高梨を尻目に、ルンビ(ノルウェー)やアルトハウス(ドイツ)がかつての自分のように圧倒的な強さで君臨。4年前は追われる存在だった高梨は、今度は追いかける立場にある。
「追いかける、追いかけられるという感覚はありません。ジャンプは個人競技で対相手の競技ではないので。自分との闘い的な部分がある。だから自分に勝てるか勝てないかに懸けている」
高梨はいつもそう言う。だからこそ、自分に負けてまさかの4位に終わったソチ五輪が忘れられない。事あるごとにソチの夢を見るという高梨。自分目線のリプレーだった悪夢が最近は変わったのだという。
「五輪後にしばらく見ていたのは自分が飛んでいる時の夢。最近は客観的に見ているんです。自分はコーチボックスにいて、選手の自分を見ている。普段から第三者的に自分を見るようになったからかもしれない。だから今はソチの夢も嫌な夢じゃないんです」
ただし、その夢の中の高梨はやはり「すんっ」と落ちていってしまう。
「4年前の自分を見返してやりたい。その悔しい気持ちを糧にやってきている。やっぱり自分に勝ちたい」
そのためには平昌でグイーン!と飛ぶしかない。残り1カ月。高梨はその感覚を見つけ出そうともがいている。
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