【池江璃花子メッセージ全文】この1年を「プラス1」に…逆境からはい上がる時には希望の力が必要

2020年07月23日 20:18

五輪

【池江璃花子メッセージ全文】この1年を「プラス1」に…逆境からはい上がる時には希望の力が必要
聖火の入ったランタンを掲げる池江璃花子(代表撮影) Photo By 代表撮影
 新型コロナウイルスの感染拡大により延期となった東京五輪は23日、開幕まで1年となった。大会組織委員会は午後8時から、開会式会場の国立競技場で「一年後へ。一歩進む。~+1メッセージ~TOKYO2020」と題したセレモニーを実施した。白血病からの復活を期す競泳女子の池江璃花子(20=ルネサンス、日大)が登場して世界へ向けてメッセージを発信。聖火を灯したランタンを掲げ、五輪に対する思いなどを語った。
【池江のメッセージ全文】

池江璃花子です。

今日は、一人のアスリートとしてそして一人の人間として少しお話させてください。

本当なら、明日の今頃この国立競技場ではTOKYO 2020の開会式が華やかに行われているはずでした。

私も、この大会に出るのが夢でした。オリンピックやパラリンピックはアスリートにとって、特別なものです。

その大きな目標が目の前から、突然消えてしまったことは、アスリートたちにとって、言葉にできないほどの喪失感だったと思います。

私も、白血病という大きな病気をしたから、よく分かります。思っていた未来が、一夜にして、別世界のように変わる。それは、とてもキツい経験でした。

そんな中でも、救いになったのはお医者さん、看護師さんなど、たくさんの医療従事者の方に、支えていただいたことです。身近で見ていていかに大変なお仕事をされているのか、実感しました。しかも今は、コロナという新たな敵とも戦っている。本当に感謝しかありません。ありがとうございます。

2020年という、特別な年を経験したことでスポーツが、決してアスリートだけでできるものではない、ということを学びました。さまざまな人の支えの上に、スポーツは存在する。本当に、そう思います。

今から、1年後。オリンピックやパラリンピックができる世界になっていたら、どんなに素敵だろうと思います。今は、一喜一憂することも多い毎日ですが一日でも早く、平和な日常が戻ってきてほしいと、心から願っています。

スポーツは、人に勇気や、絆をくれるものだと思います。私も闘病中、仲間のアスリートの頑張りにたくさんの力をもらいました。今だって、そうです。練習でみんなに追いつけない。悔しい。そういう思いも含めて、前に進む力になっています。

TOKYO 2020 今日、ここから始まる1年を単なる1年の延期ではなく、「プラス1」と考える。それはとても、未来志向で前向きな考え方だと思いました。もちろん、世の中がこんな大変な時期に、スポーツの話をすること自体、否定的な声があることもよく分かります。ただ、一方で思うのは、逆境からはい上がっていく時には、どうしても、希望の力が必要だということです。希望が、遠くに輝いているからこそ、どんなにつらくても、前を向いて頑張れる。

私の場合、もう一度プールに戻りたい。その一心でつらい治療を乗り越えることができました。世界中のアスリートと、アスリートから勇気をもらっているすべての人のために。一年後の今日、この場所で希望の炎が、輝いていてほしいと思います。

競泳選手 池江璃花子

本日はありがとうございました。

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