男女混合でどう変わる?日本が五輪金メダルを目指すセーリング470級
2021年11月26日 07:40
セーリング
470級ではかじ取りとメインセールを操るスキッパー、身体で艇のバランスを取ってジブセールを操作するクルーに役割が分かれ、混合の場合はそれぞれを男女どちらが務めても良い。素人目線では体力勝負のイメージが強いクルーを男子選手が務める方が有利な印象を持つが、日本トップ選手の感覚は三者三様だった。スキッパーの岡田と組み、東京五輪を最後に第一戦から退いた外薗潤平(才全会)は「男子がかじを持つ方(スキッパー)が有利じゃないか」と持論を展開。全日本は指導を兼ねて女子スキッパーと組んだが「追い風の波に乗せる感覚が劣っていると思う部分はある。スピードを出す感覚、スピードが出た時の艇のコントロールは男子の方が良い」とし、「逆にスキッパーが女子でいけるなら僕もパリ目指していたかも…」と冗談交じりに語った。
一方の岡田は、クルーが全身を使ってヨットを左右に揺らすことで前進するロッキングなど、限定的な場面で男女クルーの差を感じていた。「ボディアクションが必要なところは男性がどうしても有利になる。ロッキングをパワフルにしないといけないところは男性クルーに一気に追いつかれる感覚があった」。それでも他艇以前に自然を相手とする競技なだけに、「ヨットはどちらかというと性格の問題。風の選択の仕方、選択する能力が必要になってくると思うので、男女関係ないのかなと思う」と続けた。
全日本のメダルレースに進んだ混合4チームの中で唯一の女子スキッパーだった吉田は、「風域の中で良い悪いがある。私が男子スキッパーに勝つためにはパワーの面で重要な風速がある」との考えを示した。強い風域ではセールの出し入れや船をコントロールして安定させるための体力が求められるため、「そこを男子に近付けられれば差がなくなる」と強調。4大会連続五輪出場のベテランはパリ五輪への挑戦を保留していたが、大会後は「ミックスで私が通用するのかを確かめたい気持ちもあって出場して、もっといけるという手応えを感じた。パリに向けて環境が整えばやってみたい」と女子スキッパーとしての自信を見せていた。
世界的な傾向はまだ見えていないものの、各国が混合の強化をスタートし、強豪の欧州ではトップ選手同士のマッチングを行う国もあるという。パリに向け、日本で男子トップスキッパーの岡田と女子トップクルーの吉岡がペアを結成したことは必然的な流れとも言える。斎藤氏は「日本には小柄で優秀な男子スキッパーが多いことは事実。今後鍵になるのは女子の選手がどこまで伸びるか。女子でスキッパーをやるなら、吉田選手を超えるくらい技量を上げないと同じ土俵には上がれない」とし、強化担当の中村健次コーチは「長丁場になるのでペアの相性も凄く大切」との見方も示した。混合となったことで、悲願の五輪金メダルに日本は近付けるのか。答え合わせの意味でも、3年後のパリの大海原に注目したい。(記者コラム・鳥原 有華)
おすすめテーマ
2021年11月26日のニュース
特集
スポーツのランキング
-
比嘉と全美貞が首位 古江は3位 稲見は23位 女子ゴルフ今季最終戦
-
南秀樹のスコアアップ術④ ショートアイアンの精度を高める
-
男女混合でどう変わる?日本が五輪金メダルを目指すセーリング470級
-
ラグビー代表国が変更可能になる新規定 太平洋諸国の活性化、日本代表への影響は?
-
古江 逆転賞金女王へ大会レコードタイの64で首位発進!「100点に近い」
-
稲見萌寧は25位…「本当にショットの調子が悪い。一発ミスをして、分からなくなってしまった」
-
前年覇者・原英莉花は出遅れ25位「ラスト3日間、気合でアンダーを出せるように頑張りたい」
-
世界アマランク1位・中島 病み上がりも71 「しっかりプランだけ立てて」
-
賞金ランク2位・木下稜 28位発進も逆転へ前向き
-
パリ五輪マラソン代表選考会 MGC出場条件は日本人3位以内、2時間10分以内
-
貴景勝1敗死守 “怒りの速攻”で高安を送り出し 13日目は阿炎と1敗対決「普通にやるだけ」
-
阿炎「一番一番集中」 2敗の玉鷲を突き出し 八角理事長も称賛「精神的な強さが成長した」
-
照ノ富士 明生に雪辱!全勝キープ 2場所連続Vへ「自分の相撲を」
-
無限大の調整が可能!自分好みにカスタマイズできる1W
-
冬ゴルフにぴったりの発熱シート内蔵ベストが登場