“冬の女王”村岡桃佳が歩んだ四季 春の決意、夏の満喫、秋の衣替え、冬のゴール
2022年03月23日 08:30
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当初は練習についていくことができず、悔しさで眠れない夜もあった。厳しい練習は続き、日に日に自らを追い込んでいく。あまりのオーバーワークに松永監督が「彼女の顔色、体調、化粧のノリを気にしながら(練習を)調整していた。彼女は弱さを見せない。天才のように扱われるけど、彼女は間違いなく努力の人」と話すほど。松永監督の指導とサポートを受けながら、鍛錬に明け暮れた。
だが、二刀流としての季節巡回に狂いが生じた。20年春に東京大会の延期が決定。陸上の調整がずれ込み、20~21年シーズンは陸上の大会とスキーの大会を行き来する生活が続いた。村岡は「フィジカル、メンタル的にも大変でつらかった。何度も心が折れそうになった」と回顧。そんな中、心の支えになったのはWORLD―ACだった。「一緒に練習して切磋琢磨(せっさたくま)できる環境が支えだった」と原動力に変えた。
21年5月に東京パラの日本代表権を獲得した。迎えた夏の祭典では国立競技場を疾走し、100メートル(車いすT54)6位入賞。「陸上挑戦に後悔はない。ここまで大変だったが、何より楽しかった」と夏を満喫した。
夏の余韻に浸ることなく、秋には“衣替え”した。道具は陸上競技用車いすから、チェアスキーに乗り替え、戦いの場を陸上トラックからゲレンデへ移す準備がスタート。急ピッチで北京に照準を合わせた。
そして、「二刀流挑戦の集大成」として迎えた北京パラリンピック。やはり、冬の女王は強かった。3つの金、1つの銀で合計4個のメダルを獲得。スーパー大回転では、滑走中に左目のコンタクトレンズを落としても頂点に立つ貫禄だった。何より、雪景色が似合っていた。
冬の戦いを終えた村岡の自宅には、メダリストだけに贈られた大会公式マスコット・シュエロンロンのぬいぐるみが並んでいる。雪景色は去り、陸上競技挑戦をスタートした桜の季節がやってくる。二刀流継続など今後については未定だが、また新たなシーズンは訪れる。「ゆっくり休んで、気持ちをリセットして自分がどうしたいか考えていきたい」。再び歩み始めた時、新たな挑戦が幕を開ける。(記者コラム・滝本 雄大)
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