国枝 車いす男子史上初の生涯ゴールデンスラム!3時間20分死闘、大逆転V「夢かなった」

2022年07月11日 05:20

テニス

国枝 車いす男子史上初の生涯ゴールデンスラム!3時間20分死闘、大逆転V「夢かなった」
車いすの部男子シングルスで優勝し、笑顔でトロフィーを手にする国枝 Photo By 共同
 【テニス ウィンブルドン選手権最終日 ( 2022年7月10日    ロンドン・オールイングランド・クラブ )】 車いすの部男子シングルス決勝で第1シードの国枝慎吾(38=ユニクロ)は第2シードのアルフィー・ヒューエット(24=英国)に4―6、7―5、7―6で逆転勝ち。車いす男子史上初めて全4大大会とパラリンピックを制する生涯ゴールデンスラムを達成した。4大大会は昨年の全米オープンから4連勝とした。今大会はダブルスとの2冠に輝いた。
 ついに最後のピースが埋まった。3時間20分の激闘の末に頂点に立つと、国枝は頭を抱えて喜びを爆発。パラリンピックと4大大会を制するゴールデンスラムを達成し「夢がかなった」と声を震わせた。

 地元で大歓声を浴びるヒューエットの鋭いリターンに苦しみながら、何度も崖っ縁からカムバック。第2セットは4―5の第10ゲームで0―30から巻き返し、3ゲーム連取した。最終セットは5―6の第12ゲームを0―30から奪取。タイブレークも先行を許したが、4―5から6連続得点で終止符を打った。

 4大大会で28度目の優勝。全豪11度、全仏8度、全米8度、パラリンピックも3度の優勝を誇るが、16年に加わったウィンブルドンだけはタイトルから見放されてきた。人生最大の目標だった東京パラリンピックを制してもモチベーションを維持できたのはゴールデンスラムの目標があったからに他ならない。大会前に「リーチがかかっている状態。ここで達成したい」と意気込んでおり、有言実行の優勝を果たした。

 全豪、全米のハードコートや全仏のクレーと比べて、芝生は車いす操作が重くなり、チェアワークが難しい。国枝にとっては長所を生かしにくいサーフェスだが、ウィンブルドン8度の優勝を誇るフェデラー(スイス)からアドバイスを受けて開眼した。優勝インタビューでは地元選手を応援していた観客からも大きな拍手を浴び、「来年も戻ってきたいので、また見にきてほしい」。向上心を失わない38歳に、芝生の神様がほほ笑んだ。

 ▽ゴールデンスラム 全豪、全仏、ウィンブルドン、全米の4大大会に加え、五輪も制する快挙。テニスが正式競技として五輪に復帰したソウルの88年、グラフ(ドイツ)が4大大会全てと五輪を制した際に生まれた言葉。同一年に全て優勝する年間ゴールデンスラムの達成者はグラフだけ。生涯ゴールデンスラムもS・ウィリアムズ(米国)、アガシ(米国)、ナダル(スペイン)を加えた4人しかいない。車いす部門では昨年、女子のデフロート(オランダ)が史上初の年間ゴールデンスラムを成し遂げている。

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