朝乃山 感謝の復帰「もう一度相撲を取らせてもらえる」418日ぶり白星 三段目から「初心に返って」
2022年07月12日 04:30
相撲
相手の剛士丸は元幕下の25歳。幕下以下の力士が使用する黒まわし同士とはいえ、体の均整や厚みは違う。立ち合いで得意の右差し。胸を合わせ、左上手を引いて回り込む隙を与えず寄り切った。しこ名入りのボードが揺れ、午前中とは思えない大音量の拍手を受け、花道を引き揚げた。
「まだ許されるわけではないが、しっかり土俵の上で戦っていく姿を見てもらいたい」
新型コロナの感染防止対策として外出禁止措置がとられていた昨年5月、飲食店に出入りして1年間の出場停止処分を受けた。大関から三段目へと下がり、番付のしこ名は小さくなった。同時に、富山商時代の恩師からもらった「英樹」の名を本名の「朝乃山広暉(ひろき)」へと改名した。
「不祥事を起こしてもう名乗れない。母と相談して、父が付けてくれた広暉にした。初心に返って番付を上げたい」
その父・石橋靖さんは昨年8月、64歳で亡くなった。「落ち込んでいたときに師匠(高砂親方)から“もう一度、親のためにも頑張ろう”と。相撲に向き合えるようになった」。16年、近大から100枚目格付け出しでデビューしたときも三段目。同じ番付からの再出発に覚悟は固まった。
ちゃんこ番に掃除までこなしてきた元大関の再出発を見届け、高砂親方(元関脇・朝赤龍)は「1年間しっかり稽古はできた。ホッとしている」と胸をなで下ろした。再びスポットライトを浴びる日へ、力士・朝乃山の第2章が始まった。
《朝乃山に聞く》
――1勝してホッとした?
「1年本場所から離れていたので、とりあえず一番取れば感覚は戻ってくるかなと思います。まだまだこれからです」
――出場停止処分を受け、一番つらかったことは?
「不祥事を起こした時に相撲協会にうそをついたことです」
――三段目にしこ名が載った番付表を見た時に感じた思いは?
「入門した時は三段目付け出しだったので、もう一度ここからまた初心に返って番付を上げていきたいです」
――これからの新しい土俵人生、どう歩んでいく?
「もう一度、相撲協会や応援してくださるファンの皆さんのために、また応援、信用してもらえるように相撲と向き合っていきたいと思います」
《24年夏にも大関》三段目に番付を下げた朝乃山は、今場所全勝優勝なら秋場所で幕下に復帰する。さらに幕下で2場所連続全勝すれば、来年初場所には十両に復帰することができる。その後、十両で15戦全勝となれば1場所で幕内復帰もある。さらに、幕内で2桁勝利をマークし続ければ3場所で三役にカムバックすることも可能。三役3場所で合計33勝以上を挙げれば昇進となるため、24年夏場所にも大関に戻ることができる。
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