優勝しても泣いていた…やり投げ・北口榛花の向上心 恩師も驚く「一般人の枠をはるかに超えています」
2022年08月17日 11:00
陸上
「あの子(森さん)がいなかったら、北口は陸上をやらなかったかもしれない。でも、声はかけたけど、彼女は水泳をやりたかった。目標がある人間はなかなか引っ張り込めない。極端に言えば、ダメもとでした」
幼少期から水泳やバドミントンに打ち込み、高校では水泳に専念する予定だった。ただ、一つ救いだったのは、北口はクラブチームで泳いでいたこと。学校の部活と両立が可能で、最終的に「両方やってもいいなら…」という結論になった。
4月の北海道はまだ雪が残っており、やり投げの本格的な練習を始めたのはゴールデンウイーク前後。しかも、練習時間は水泳と半々だった。そんな選手が6月の道大会で大会記録を上回る45メートルを投げて優勝したから、誰もが驚いた。
その年の秋に陸上一本に絞り、3年時には全国高校総体、国体、日本ユースを制して3冠達成。サニブラウンらと出場した世界ユース選手権(コロンビア)でも優勝した。計り知れない才能と努力のたまものながら、松橋さんは意志の強さも飛躍の理由に挙げる。
「練習を一生懸命やるし、週に1回は治療院に行ってケアもしていた。3年の総体で優勝したけど、大会記録を出せなかったから、表彰式の後に泣いていた。競技に懸ける思いや向上心は、一般人の枠をはるかに超えています」
今年6月、松橋さんは「北口は“ここまで頑張ってくれれば…”と自分が思う上をいつも行くんですよ」と言っていた。その後の世界選手権で表彰台に上がり、8月には世界最高峰のダイヤモンドリーグでファイナル進出を決めた。恩師の想像を超える活躍が、日本の陸上界を盛り上げていく。