二所ノ関親方が春場所総括 霧馬山に賜杯もたらした立ち合い 夏場所で大関獲りへ“自分の形”を

2023年03月28日 04:44

相撲

二所ノ関親方が春場所総括 霧馬山に賜杯もたらした立ち合い 夏場所で大関獲りへ“自分の形”を
二所ノ関親方 Photo By スポニチ
 終盤もつれた春場所は新関脇の霧馬山(26=陸奥部屋)が千秋楽で小結・大栄翔(29=追手風部屋)に連勝し、逆転で初優勝を飾った。本紙評論家の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)は勝因は立ち合いと分析。大関獲りとなる夏場所(5月14日初日、両国国技館)の課題も挙げた。霧馬山は優勝から一夜明けた27日に取材に応じ、改めて大関への思いを示した。
 昭和以降初となる横綱、大関不在の場所で、霧馬山の安定感が光りました。大栄翔に2連勝した千秋楽。14日目のコラムで立ち合いが鍵と指摘しましたが、本割で大栄翔の当たりを受け止めたことが初優勝につながりました。左、右とバランス良く突いてくる相手の持ち味をうまく消すことができたからです。大栄翔は左だけの攻めになってしまい、土俵際の詰めが甘くなり、突き落としを食らいました。粘り腰も見事でしたが、ファーストコンタクトが勝敗を分けたとみています。

 先場所は小結で11勝しており、2場所で23勝。夏場所はいよいよ大関獲りです。ライバルの中では一番安定感があるので2桁勝利は堅いでしょう。最近は12勝の優勝が多いので、ぜひ13勝以上で昇進してほしいと思っています。今がまさに伸び盛りの印象で、まだ強くなる可能性も秘めています。一方で器用貧乏な面もあるので自分で「こういう相撲を取るんだ」と主張してもいいのではないかと思います。形があれば幅も広がり、対応力が生かされるでしょう。

 場所を通じて印象深かったのは翠富士です。三賞を獲れなかったのは残念ですが、小兵ながら突き押しの良さが際立っていました。8日目の碧山戦でも突っ張りを普通に受け止めており、圧力負けしない自信があるから肩透かしもいなしも決まる。その一方で、終盤の5連敗は課題を残すことになりました。役力士となると平幕とは違った圧力を受けます。とにかく体を大きくして、前への力をもっと磨くことが求められます。

 パワーという点では新入幕の金峰山も恐ろしい存在になりそうです。現状は突っ張りを主体にしていますが、四つ相撲も取れそうな体格。荒々しさが逆に上位を苦しめそうで、注目です。大栄翔も優勝は逃しましたが、千秋楽の取組は悲観すべきものではありません。連続2桁は評価できますし、巻き返しに期待です。(元横綱・稀勢の里)

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