「おまえはエースなんだから」内海 原監督の言葉で目が覚めた
2013年01月13日 12:37
野球
「1戦目だし、思い切ってインコースを攻めよう。たとえ(体に)当てたとしても“次に響く”というくらいの気持ちでいこう」
狙い通りだった。特に左打者の内角にシーズン途中から投げ始めたツーシームを駆使し糸井、稲葉ら好打者に本来の打撃をさせなかった。「完璧でした」と自画自賛の7回2安打無失点。川口投手総合コーチにも「次の試合にも影響が残るエースらしい投球だった」と言わしめた。
野球ファンならずとも注目を集めた特別な舞台。その重圧の中で、シーズン開幕とクライマックスシリーズ(CS)開幕は勝てなかったが、日本シリーズで「3度目の正直」を成し遂げた背景には、大役を託し続けた原監督の言葉があった。10月21日のCSファイナルステージ5戦目(東京ドーム)。1イニング目を投げ終えベンチに戻った左腕に指揮官が歩み寄った。
「おまえは最多勝投手。ジャイアンツのエースなんだから。もっと自信を持って投げろ。かわすだけじゃダメだ」
目が覚めた。結果を求めすぎたあまり、自然とかわすスタイルになっていた。「監督が試合中に声をかけてくれるのはなかなかない。それだけ心配させているのは申し訳なかったですが、凄くありがたかった」。攻める気持ちをそのまま投球につなげた。シリーズ初戦で死球を与えても動揺せず、その後も内角を攻め続けた。エースは本来の姿を取り戻した。
苦い思い出があった。11勝8敗、自己ワーストの防御率4・38に終わった10年9月9日の横浜戦(横浜)。3回2/3で6失点KOされると、原監督に「論ずるに値しない」と突き放された。その年の8月には中継ぎ降格も経験。それでも最終戦となった10月8日のヤクルト戦(東京ドーム)。「内海で始まったシーズンの最後。やっぱり内海」と開幕投手を務めた左腕は最後も託された。結果は6回途中3失点で降板。2年後に訪れた同じようなシチュエーションに「期待してくれている監督に、ああいう思いをさせたくなかった」。同じ轍(てつ)は踏まなかった。
阿部の負傷もあって、2勝2敗の五分に戻されたが、5戦目に先発した内海で王手をかけた。大一番での勝負強さを手に入れ、日本一に貢献した左腕にはシリーズMVPのご褒美が待っていた。「もう最高の気分でした。まさか自分が獲れるとは思いませんでした」。12年は内海が「真のエース」を証明したシーズンとなった。
◆内海 哲也(うつみ・てつや)1982年(昭57)4月29日、京都府生まれの30歳。敦賀気比ではエースとして活躍も甲子園出場はなし。00年ドラフトでオリックスから1位指名も入団拒否し東京ガスに入社。03年ドラフトで自由枠で巨人入団。07年に最多奪三振、11、12年に最多勝のタイトルを獲得。09年WBC日本代表。1メートル86、90キロ。左投げ左打ち。
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