杉内 最速2000Kの極意はムネリンから 剛速球なくても打者目線
2014年07月13日 05:30
野球
巨人の杉内俊哉投手(33)が12日、阪神戦に先発し、7勝目を今季初完封で飾った。6回に上本博紀内野手(28)からこの試合3個目の三振を奪い、プロ野球22人目の通算2000奪三振を達成。1930回2/3での到達は、西武時代に記録した石井一久(スポニチ本紙評論家)の1967回2/3を上回り、プロ野球史上最速となった。チームにとっても今季初完封となった杉内の快投で、3年連続の前半戦首位ターンを決めた。
杉内は三振の魅力を問われると、ひと息つき、分かりやすく言った。
「ボールが前に飛ばない。前に飛んだら、何が起こるか分からないから」。勝つための最善策。通算2000奪三振は6回2死、上本から奪った。2ストライク2ボールから139キロ直球で空振りさせた。史上最速の1930回2/3での到達。三振数よりイニング数が少ないのは、石井一久と2人だけだ。阪神のリードオフマンに成長した相手から偉業を成し遂げ「粘り強い打者。彼から取れるとは思っていなかった」と笑顔を浮かべた。
1メートル75、82キロ。プロ野球界では決して恵まれた体格ではない。この日も最速が141キロだったように剛速球もない。変化球は2種類のスライダーにチェンジアップの3種類。それでも08、09、12年と3度、奪三振のタイトルを獲得した。「少ない球種だけど、どれも勝負球になると思っている」。転機は2回あった。
(1)05年のシーズン前
当時ソフトバンクで同僚だった川崎(現ブルージェイズ)に聞いた。「どういう投手の球が打ちにくい?」。答えは「キャッチボールみたいに力を抜いたフォームからピュッと投げられたら難しい。タイミングが取れない」。さらに「イチ、ニのサンの投げ方なら150キロ超えても苦にならない」と付け加えられた。
試行錯誤の末、右足を上げた際に左手でグラブをポンと叩くことで力を抜いた。力感のないフォームからリリースの瞬間だけ力を込める。打者はタイミングを取れなかった。「これだなって」。この年、当時の自身最多218奪三振。18勝を挙げ、沢村賞に輝いた。
(2)08年の新球習得
脱力フォームから4年目。打者の目線が慣れてきたところで球種を増やした。今や「宝刀」と称されるチェンジアップだ。最初は親指と人さし指で輪をつくるOK型。改良を重ねて中指を浮かし、人さし指と薬指を中心に握る現在のタイプへと落ち着いた。脱力フォームから腕だけを目いっぱい振った。ボールだけ遅れてくるように感じる相手打者から「消える」と驚嘆の声が上がった。同年から2年連続で奪三振のタイトルを手にした。
今季最多122球の熱投で、前日16安打の阪神打線を2安打に封じた。「(阪神が)調子がいいのは分かっていた。勝ってよかった。三振はどうでもいいや」。いたずらっぽく笑った。奪三振は5。全盛期のように三振は奪えなくなっても今季初完封勝利し、4試合残してチームに前半戦首位ターンをもたらした。「三振を取ったから勝てるわけじゃない。3000奪三振?それなら200勝したい」。最後は投手本能を見せ、会見を終えた。
▼巨人・原監督 中5日が非常に多いですが、若返ってきている感じがする。少々眠っている細胞がムクムクと起きだしている。まだ途上の投手ですし、あとでニンマリすればいい。
▼石井一久氏(スポニチ本紙評論家)僕は途中でメジャーに行っていた期間があるので、ちょっと変則的な記録。純粋なプロ野球記録としては日本一筋でやっている杉内君が記録を持ってくれた方が僕としてもうれしい。体はそんなに大きくないのに、強打者からバッタバッタと三振を取る姿は尊敬します。人間的にも素晴らしい。節目節目で杉内君とはゴルフショップで会いますが、その時の穏やかな表情はとても2000個も三振を取る勝負師の顔には見えません。どこでスイッチが入るのでしょうか。
≪歴代最速記録≫杉内(巨)が12日阪神戦の6回に上本から三振を奪い通算2000奪三振を達成した。プロ野球22人目。初奪三振はダイエー時代の02年4月1日のロッテ戦でサブローから。通算1930回2/3での到達は、石井一久(西)の1967回2/3を更新する歴代最速記録。
≪完封は21度目≫杉内の完封は昨年4月30日の中日戦以来21度目で、2年連続のチーム完封一番乗りを果たした。巨人の完投完封一番乗りを年度別に見ると、04年の114試合目(高橋尚)が最も遅かったが、今季の76試合目はこれに次ぐ難産。なお、2000奪三振達成試合で完封勝利は64年小山正明(東京)に次ぎ2人目だ。
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