【石井一久 クロスファイア】進む「時短策」いずれはコールド導入?

2018年01月31日 09:47

野球

【石井一久 クロスファイア】進む「時短策」いずれはコールド導入?
ヤンキースタジアム Photo By スポニチ
 最近は野球も何かと「時短」が話題になっている。MLBは試合時間を短縮するために、今季から投手の投球間隔を20秒以内とする規則を導入しようとしている。2度目の違反でボールが宣告され、捕手がマウンドに行く回数も1イニングで1投手につき1回に制限される。先日、ヤンキースの田中が「野球は“間”のスポーツで、その“間”を削られるのはどうなのか」と疑問を呈したように、大リーグ選手会は投手を中心に反発の姿勢を示していると聞く。
 昨季のMLBの平均投球間隔は22秒。日本の投手は平均よりも長いというデータも出ている。たかが「2秒」の短縮かもしれないが、投手の立場からすれば、田中の言うことは理解できる。野球は一球一球考えるスポーツ。マウンドでボールを持っている間に配球やテンポを考え、打者と駆け引きもする。投球フォームも一球一球投げていく中で考え、理想のものにアジャストしていく。その時間も含まれている。

 その一方で、MLBの提案も分かる。米国の4大プロスポーツで、試合時間が決まっていないのはMLBだけ。テレビ視聴率などの人気面ではNBAやNFLに負けており、試合時間はNBAやNHLと比べるとはるかに長い。しかも止まっている時間が長いので、スピード感にやや欠ける。人間の集中力はそんなに長く続かないので、試合が長くなると、途中で帰ってしまう人も増える。

 ゴルフも野球同様に試合時間は決まっていないが、一打一打が遅いスロープレーにはペナルティーがある。野球も試合時間を短縮するには、「間」の部分で厳格なルールを決めないといけない。それが20秒ルール。最近はサッカー人気も上がっており、MLBが危機感を抱いているからこその「時短策」なのだろう。

 昨季メジャーで導入され、今季から日本も追随する「申告敬遠」もその一つ。少し前まで、投げずに敬遠なんていうルールは想像もしなかった。スポーツの多様化とともに、野球も変わってきた。究極の時短策で言えば、数十年後には、プロ野球でもコールドゲームが導入されているかもしれない。 (本紙評論家)

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