大阪唯一の予選皆勤校・市岡 三本線の誇りを胸に初戦は桜宮と激突
2018年06月22日 18:55
野球
今年4月に赴任し、就任した野口諭史監督(37)は、熱い口調で言葉をつないだ。自身も市岡野球部OBで、2度の選抜出場に導いた河合孝元監督から多くのイズムを吸収してきた。
「よく選手を見ておられた。特性を見極めて起用するから当たる。勝負師です」
そんな恩師とは浅からぬ縁がある。市岡の監督として迎えた最後の99年夏は、野口監督の3年時。港(大阪)では顧問、部長として河合監督を支え、河合監督が退任した16年秋の新チームからは港を率いた。そして、今春からは母校である市岡へ。着任初日。部員を前に「市岡は皆勤校。歴史を途切れさせることはできない。そして、いつでも甲子園へ行ける力をつけておく。公立に負けていては私学に勝てない。勝ち続ける公立校でいよう」と訓示したのは、自然な流れだった。
1906年に創部し16年の第2回全国中等学校野球大会に大阪勢として初めて出場し準優勝した。野球殿堂には佐伯達夫、田中勝雄、伊達正男、広岡知男という4人を輩出。戦前から大阪の中等野球をリードし、大阪の公立校で最後に甲子園出場を果たしたのも95年選抜における市岡だ。
左翼100メートル、右翼60メートル程のグラウンドをを使用できるのは週2回。練習時間も平日は最長2時間30分で、週末の練習試合は他校へ出向く。普通科の進学校。学力試験を突破しなければ、その一員に加わることはできない。環境は厳しい。それでも指揮官は「環境を言いわけにしない。市岡伝統の粘り、泥臭さを大切にして、すごい選手はいなくても“THE高校野球”というチームで勝ちたい」と培ってきた伝統という無形の力を意識し、前を向いた。
夏は14年から4年連続初戦敗退するなど近年は苦戦が続くが、今春は15年秋以来の公式戦1勝を挙げた。春以降の練習試合で浪速や太成学院大高など私学にも勝利。昨夏の1回戦で関大北陽を3点に抑えた下手投げ右腕の勝田壮―田中海成のバッテリーも健在だ。
2人にとっての今夏は、雪辱を果たす舞台でもある。中盤まで関大北陽をリードしながら、7回に追いつかれると続く8回。1死二、三塁からのバッテリーエラーで、決勝点を献上してしまった。勝田は言う。
「もう同じ失敗では負けたくない。市岡の1番はすごくプレッシャーもありますが、そこにはOBの方々をはじめ、いろんな人の思いがある。一つ勝てれば乗っていけると思うので、まずは何が何でも1勝したいです」
捕手の田中は守りの要であると同時に、4番の重責も担う。昨夏は6番捕手として2安打を放ったが、結果は悔しい逆転負け。「打倒・私学」の思いとともに、ラストサマーを迎える。
「市岡の伝統は入学する前から知っていました。野球だけではなく、勉強もしっかりやりたくて進学してきました。4番捕手はプレッシャーもありますが、良い意味でのプレッシャー。期待されていることを意気に感じ、思い切りプレーして、気持ちで負けないようにしたいです」
例年、夏の大会には野球部OB、OGはもちろん、卒業生、そして多くのファンが応援にかけつける。現役の部員はスタンドからの熱気を肌で感じ、改めて歴史の重さを知る。甲子園大会の開会式で入場行進する田崎悠介主将は先人に感謝の思いを込めながら、言葉をつないだ。
「三本線の帽子はこれこそが、市岡なんだと思います。僕らの誇り。先輩方が築いてくださった歴史のおかげで今がある。新チームになって競った試合で負けることが多かったですが、春以降は接戦を取れるようになってきました。全力で最後までプレーして、観ている方に応援してもらえるようなチームになりたい。それが結果にもつながると思います。市岡の代表として行進したいし全員で甲子園へ行くつもりです」
1916年の全国大会出場を機に、二本線が、大阪市内で3番目にできた旧制中学校を示す「三本線」に変更されたという。着用は公式戦、他府県の高校との試合、府内での定期戦(港、天王寺、北野、八尾、明星)に限られる。品格と誇りが刻まれた「三本線」。野口監督は来たるべき記念大会に、思いをはせた。
「100回を意識したくはないけれど、今年だけは意識しないといけないのかなとも思う。三本線にも重みを感じながら、市岡らしい野球をして勝ち続けたい」
この日の抽選では、北大阪大会の初戦で桜宮(13日豊中、14時10分開始予定)と対戦することが決定。相手に不足はない。
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