甲斐キャノン!強肩発動でソフトバンクの連覇に貢献
2018年11月09日 08:00
野球
甲斐は10年に育成ドラフト6位でソフトバンクに入団。14年6月7日の広島戦で1軍デビューを果たすが、当時は登録名・拓也での出場だった。その試合に途中から捕手としてマスクをかぶったものの1軍出場はこの1試合のみでシーズン終了。翌15年も4月1日オリックス戦で前年同様途中からマスクをかぶった1試合だけ。16年は13試合に出場したが、捕手としては12試合22イニングを守り、18守備機会で刺殺16、補殺2が守備成績の全て。盗塁阻止も許した盗塁もこの3シーズンはなく、1軍での強肩披露は17年からになる。
甲斐キャノンが公式戦で最初に炸裂したのは17年4月9日の西武戦(メットライフ)で場面は5回2死一塁。一塁走者は新人の源田(西武)で4月7日のソフトバンク戦では4回にプロ初盗塁を記録していた。ただし、この時は、和田と高谷のバッテリー。甲斐とのマッチアップは初めてで、東浜の3球目にスタート。甲斐からの送球を二塁手の本多が受け源田にタッチしアウトに。源田は17年に新人ながらパ・リーグ2位の37盗塁を記録。今季も3位の34盗塁と俊足が持ち味。刺した甲斐も刺された源田も記憶に残るプレーになったに違いない。
それでも17年の甲斐の盗塁阻止率は・324でリーグ3位。1位の田村(ロッテ=・337)、2位の炭谷(西武=・327)にわずかだが及ばなかった。そこから今季は大きく飛躍。盗塁阻止率・447は両リーグを通じ1位。強肩捕手の名を不動のものにした。来季は2年連続最高阻止率の記録が懸る。セ・リーグでは小林(巨人)が16年から今季まで3年連続で1位になっているが、パ・リーグでは細川亨(西武)が06、07年と続けたのが最後。甲斐が来季も1位ならリーグ12年ぶりになる。
個人の盗塁阻止率が明らかになっているのは56年から。過去に最も長く阻止率1位を続けたのは79〜83年梨田昌崇(近鉄)と90〜94年古田敦也(ヤクルト)の5年連続。ソフトバンクでは01〜04年城島健司(当時ダイエー)の4年連続が最長記録として残る。また、この間の最高阻止率は93年古田の・644。パ・リーグでは66年福塚勝哉(阪急)の・625が最高阻止率だ。古田の場合、シーズン阻止率1位が最多の10度。実働18シーズンで阻止率3位以上が14度と高い阻止率を維持した。91年4月には12連続盗塁刺も記録している。
もう一人、チームの大先輩である野村克也は南海時代の63年に1度だけ盗塁阻止率1位を記録。このシーズンの野村は全150試合に捕手としてフルイニング出場。143度も盗塁を試みられ盗塁刺76。阻止率は・531と強肩を誇った。加えて全試合に4番で出場。打率・291(8位)、52本塁打(1位)、135打点(1位)とあきれるようなタフネスぶりを見せた。甲斐の1軍キャリアは始まったばかり。歴史に残る偉大な捕手達にどこまで近づけるか。来季以降が待ち遠しい。(敬称略)
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