仕事人の顔見せた!情熱的かつ論理的な石井「GM」の楽天再建計画
2019年02月13日 08:30
野球
「初日からみんな精力的に動いてくれているので、良い準備をしてきてくれたんだなと感じている」
――目についた選手は?
「挙げればきりがないけど、若手ならオコエや卓丸。ベテランも藤田や新主将の銀次も。ただ、みんな活気はあるけど、少しおとなしいかなと。ここから、さらに戦う集団になっていければ」
――昨年までは本紙評論家としてキャンプを見ていた。視点はどう変わったのか。
「評論家は単純にそのシーズンの戦力を分析する。あの投手の状態が良いとか悪いとか。でも、それは出来事でしかない。僕の今の立場は、目の前の事象よりも、シーズンを見越してより細かい部分を見なければいけない。そこは全く違いますね」
――GMとして何を意識しているのか。
「“たられば”を考えますね。現状はこうだけど、こうなった場合はどうするか、と。何かが起きた場合も想定をしなければいけない」
――GM就任1年目でチーム内のあらゆる状況を把握しないといけない。
「そこは監督やコーチングスタッフが熱心に状況把握に努めてくれている。何でも知りたいわけじゃないけど、最終決定をするためには知っていないといけない立場。球団として情報共有のパイプをつくっているところ」
――特に重点的に取り組んでいることは?
「まずは組織としてのシステムづくり。楽天球団はスタッフや職員が約260人もいる。スピード感と一体感を持って情報共有して、意思決定とアクションにつなげていく。そのために、特定の人だけでなく、いろいろな人と常にコミュニケーションを取るようしている」
――オフにFAで獲得した浅村が注目を集めている。
「彼がもたらしてくれるものは大きい。この期間だけでも、選手の意識が変わってきている。練習を見るだけでも“やっぱり違うな”と感じているはず。一選手を補強した以上のものをすでに感じている」
――若い選手も多い。育成の方針は?
「可能性を探ることが大事。例えば2年目の岩見だったら、一塁だけやっていても、とてつもなく打たない限りはなかなか1軍に上がれない。だから、今は(2軍で)外野の練習をしている。下手だとか、できないと決めつけない。そういう目を持つことが選手の選択肢を広げる。三木2軍監督ともそういった話はしている」
――平石監督をはじめ、コーチ陣も若い。
「僕は監督を一流にしたい。若いとか選手時代の実績がないとか、そんなことは関係ない。欠点でも恥ずべきことでもない。僕も未経験のGM。必要なのは野球を知っているかどうか。そのサポートができれば」
――GMと現場の役割分担は?
「もちろん言うべきことは言うけど、あくまでも現場を尊重する。現場がやりたいと思うことをやれる環境を整えるのが僕の仕事。現場は今年の結果を求め、僕は2、3年後のことを見据えて動く。ただ、進むべき方向はみんな同じ」
――ファンの期待は大きい。
「沖縄にも東北からたくさんのファンが来てくださっている。“楽天に来てくれてありがとう”と声を掛けてもらうこともある。携わった以上、優勝させて期待に応えたい」
――GMとして目指すところは?
「自分の評価なんてどうでもいい。選手には常に強いチームでプレーさせてあげたい。まだ就任して期間は短いけど、しっかりレールにさえ乗せてあげれば優勝というゴールに向かって一気に走っていくチームだなと感じています」
◆石井 一久(いしい・かずひさ)1973年(昭48)9月9日生まれ、千葉県出身の45歳。東京学館浦安から91年ドラフト1位でヤクルトに入団。02年から4年間はドジャース、メッツでプレー。その後、日本に復帰しヤクルト、西武で活躍、13年に現役引退。日米通算182勝137敗1セーブ、防御率3・80。妻はフリーアナウンサーの木佐彩子。
≪日本ハムと西武もポスト設置、日本球界のGM事情≫日本球界でGM制が導入されたのはボビー・バレンタイン監督(第1次政権)時代のロッテが初めてで、95〜96年に広岡達朗氏が務めた。現在は石井氏と日本ハム・吉村浩氏、西武・渡辺久信氏の3人。大リーグでは現在26球団が同職を置いており、残り4球団も「編成本部長(プレジデント・オブ・ベースボール・オペレーションズ)」の肩書で同等かそれ以上の権限を持つ幹部がいる。
【取材後記】本紙評論家として接していた時から感じていた。聡明(そうめい)で極めて論理的な思考を持った人だと。いつも柔和な表情で、ふんわりしたキャラクターだが「理論派」という表現がぴったり当てはまる。担当記者とGMという関係になり、今回が初めてのインタビューだった。ただひたすらにチームを強くしたいという情熱がひしひしと伝わってきた。キャンプ地の沖縄県金武町で行われたJ1神戸との合同懇親会でのトークセッション。「こんな顔をしていますけど、プレッシャーは感じています。それを乗り越えて次のステージにいきたい」という言葉が印象的だった。経験と機知に富んだ石井GMだからこそ、球団はもちろん、野球界全体に新しい風を吹き込んでくれそうな気がしてならない。(楽天担当・重光 晋太郎)
おすすめテーマ
野球の2019年02月13日のニュース
特集
野球のランキング
-
中畑清氏 12球団キャンプ地制覇!ラストは楽天でオコエを熱血指導
-
巨人・片岡コーチもベッキーとの結婚報告「二人で、ゆっくりと、しっかりと、歩んでいきたい」
-
DeNA初対外試合が雨天中止…阪口やっぱり雨男!?「案の定だった」
-
楽天・岸「日に日に良くなっているから」3日連続ブルペンで順調アピール
-
-
マー君 ナ・リーグのDH制導入に否定的「野球は9人でやるものとして育った」
-
日本ハムドラ1吉田輝「このまま調子を上げていきたい」 16日紅白戦はフォーク封印
-
東京国際大 元ヤクルトの角冨士夫新監督が就任会見 古田敦也氏もエール
-
西武 2年目左腕・斉藤にアクシデント フリー打撃で打球が左手直撃
-
元ロッテ・大嶺翔太容疑者を逮捕 恐喝未遂の疑い
-
広島 日南キャンプを打ち上げ沖縄へ移動 ドラ1・小園も“切符”獲得
-
巨人 2次キャンプ地の沖縄・那覇入り いよいよ実戦が本格化へ
-
阪神・板山 気合の休日返上トレ 14日の楽天戦に向け「アピールしていくしかない」
-
阪神 望月&才木、バレンタインデー企画に参加 甘い思い出は?
-
【次のスターはオリまっせ】太田椋内野手 根尾、小園に負けない!決意の初球フルスイング
-
ロッテ・成田 バレンタイン投票で3連覇に驚き「今年は藤原がいたので」
-
中畑氏が見た元G2選手 長野は練習姿勢に必死さ 内海の動く球はパ打者に有効
-
阪神・望月“開幕投手”で逆襲!14日楽天戦先発へ 開幕ローテへ背水
-
掛布氏、中日ドラ1根尾を絶賛「目力がある、プロ野球界を盛り上げていく存在」
-
オリックス・山岡 “開幕投手”に「あまり興味がない」…その真意とは
-
元投手の一流打者がバネにした“挫折” オリックス・佐野の今後に期待
-
日本ハム・遠藤GM補佐 「東大くん」に困惑した1年目キャンプ「野球に集中したかったなぁ」
-
オリックス・宗佑磨 引きつけて打つ!フォーム大改造“ムネ”の内を語る
-
楽天・平石監督 石井GMと強い絆「本当によく野球を知っている」
-
【キャンプ隠しマイク】中日・鈴木博にアクシデント「痛い!ケツ刺さった!」
-
阪神・糸井 300盗塁あと12、巨人戦失敗なし継続なるか
-
仕事人の顔見せた!情熱的かつ論理的な石井「GM」の楽天再建計画
-
日本ハム・中田 「右内転筋肉離れ」でゲーム復帰まで3週間、栗山監督「気になる」
-
雄星 充実のマリナーズキャンプ初日「本当に楽しい時間を過ごせた」
-
ロッテ石川 初の開幕投手決定!井口監督「本人に伝えてある」
-
広島・長野、コイ“初安打” 実戦形式6打席目 記念球もゲット?
-
広島ドラ1小園“プロ初安打” 実戦8打席目「ホッとしました」
-
内海 バット折った!フリー初登板「収穫」直球威力十分
-
松田宣 シート打撃で3安打!ドラ1甲斐野に貫禄見せた
-
巨人ヤングマン“開幕投手”任せろ!16日初対外試合先発へ
-
王柏融 いきなり“大王打”初対外試合で驚異のバット操作
-
清宮 無安打も2四球に手応え「1打席ごとに感覚戻ってきた」
-
輝星マッスル化!筋トレ効果抜群でOサイズぴちぴちに
-
期待応えた!斎藤佑 2回完全も「ホッとしてはいられない」
-
ヤクルト寺原、17日中日戦で新天地初登板 今季は先発起用へ
-
DeNA、高卒2年目・阪口で“開幕”「勢いを付けるのが大事」
-
松坂、診断は「右肩炎症」当面ノースロー 与田監督も慎重
-
中日・石川駿がアピール弾 伊東ヘッド助言で大暴れ4打点
-
助っ人よ紅白戦で競え!オリ西村監督「何人出られるかは分からない」
-
開幕投手は譲らん!則本&岸が熱投競演 平石監督25日にも公表へ
-
元稀勢激励に応える!美馬 右肘手術後初フリー打撃登板
-
阪神・西、憧れ福留と対戦「すごく幸せな時間」幼少期から大ファン
-
糸井&マルテ&ナバーロが“作戦会議” スマホ映像で打撃チェック
-
ソフトバンク・ドラ1甲斐野 フォーク披露で甲斐に売り込み
-
ソフトバンク・ドラ2杉山 最速152キロ!甲斐野負けじと剛球披露
-
マリンフェスタでニックネームユニ着用!ドラ1藤原「面白い企画」
-
雄星、バッテリー組集合に「本当に楽しみ」米の生活にも適応
-
大谷、手術後初のスイング バット持って室内ケージへ
-
平野、2年目はスライダー&米国トレ導入「いいと思ったもの取り入れる」