阪神 負の歴史に終止符 闘将が燃えた――「ここが俺の死に場所」開幕戦11連敗止めた
2020年04月07日 05:00
野球
「12年ぶりか。(過去11年は)俺じゃないと開き直っていたけど、意識はしていたなあ。選手が本当に頑張ってくれたよ」
6年目23歳の井川に初の開幕投手を託した。「負けてもええから、代えるつもりはなかった。抑えてくれると思っとったんや」。9回125球で1失点。<巨人との開幕戦での完投勝利>は実に40年ぶりの快挙だった。
中日監督を退いたばかりだった前年12月、電撃的な就任要請に応えた。「阪神を戦う集団にしたい。グラウンドでは火の玉のごとく燃える、そういう人間を育てたい」。就任会見での誓いを自ら体現した。
不整脈に見舞われ、5回あたりからベンチ裏のベッドに横たわった。初陣、それも現役時代から闘志を燃やしてきた巨人戦。極度の緊張、興奮状態に体が悲鳴を上げた。ぜえ、ぜえと呼吸を乱し“代行”で指揮するヘッドコーチの島野育夫に「バントせえ」など声で伝達した。監督付き広報だった平田勝男は「生死をさまよう“危篤状態”で、命を懸けて戦うというのを初めて見た」と震えた。
桧山進次郎、アリアスの効果的な2発で主導権を奪い、最終9回は1死一、二塁の窮地に立たされた。阿部慎之助のライナーに遊撃手の藤本敦士が飛びついてグラブではじいた。拾いなおして二塁封殺、二塁走者だった松井秀喜も二、三塁間で挟殺する奇跡的な幕切れだった。
「トリックプレーやな。あんなプレーは教えてない」
子供のようにはしゃぎ回った後、再びベンチに座り込んで井川のヒーローインタビューをじっと聞いた。戻ってきた井川を何も言わずに抱きしめた…ように周りに映った名場面。平田は真後ろでベルトをつかんで星野の体を支えていた。監督になって初めて甲子園球場に足を踏み入れた1月に「ここが俺の死に場所やな」と問わず語りにつぶやいた通りの心意気だった。
闘将のもとで虎は変わった。開幕カードを3連勝で発進し、1938年春に並ぶ開幕7連勝の球団記録まで伸ばした。翌03年の18年ぶりリーグ優勝へとつながる第一歩だった。=敬称略=
〇…長嶋茂雄氏がテレビ解説者として初めてネット裏から開幕戦を見守った。01年限りで巨人監督を勇退し、後継者に指名した原辰徳監督の初陣。スーツ姿で東京ドームを訪れ「洋服を着ていても高揚した。開幕はわれわれ野球人にとって正月ですから。投手戦のいいゲームだった」とうなずいた。
▽2002年の世相 雪印牛肉偽装事件発覚(1月)、米国でソルトレークシティー冬季五輪(2月)、日韓共催のサッカーW杯で日本が初の16強(6月)、初の日朝首脳会談で小泉首相が北朝鮮訪問(9月)、北朝鮮に拉致された日本人5人が帰国(10月)【流行語】「タマちゃん」「W杯」【漢字】帰
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