年に一度の「祭り」が消えた…プロ野球地方開催34試合中止、どうなる残る5試合
2020年05月24日 07:00
野球
水戸でのプロ野球公式戦は92年4月の日本ハム―オリックス戦以来、28年ぶりの悲願だった。ロッテ戦となれば、前身の大毎時代以来、実に61年ぶりとなる開催が、コロナ禍で幻に。水戸市スポーツ振興協会の小林哲也事業課長(53)は「高校野球の人気も高く、野球ファンが多い地域。見たい気持ちの人も多かったと思う」と地元の声を代弁した。
同球場は18年6月にリニューアルオープンしたばかり。昨年の茨城国体や将来的なプロ野球公式戦誘致のため、グラウンド拡張やスピードガン設置などを行った。今回の公式戦は、さらなる地域のスポーツ振興の足がかりと期待されていた。試合当日には、地元飲食店などへの出店依頼を予定していた。同協会によれば、茨城国体時の11店舗以上への依頼を見込んでいたという。四半世紀以上を経て戻ってきた「祭り」を盛り上げようとしていた。
プロ入りしたご当地選手が活躍する姿を見られるのも、地方開催のだいご味の一つだ。茨城出身のロッテ・柿沼は、水戸開催が決まった際に「その日はスタメンでマスクをかぶり、同じ茨城出身の石崎さんとバッテリーを組みたいです」と語った。故郷に錦を飾るべく、意欲をみなぎらせていた。
30年近く水戸で開催できていなかった経緯もあり、小林課長は「県庁所在地で開催できる意味はあったのに…」と無念さは尽きない。それでも、来年以降の開催に向け「引き続き可能な限り誘致を進めていきたい」と前を向いた。
▽ノーブルホームスタジアム水戸 1980年に竣工(しゅんこう)し18年6月にリニューアルオープン。最大収容2万人。昨年の茨城国体・高校野球硬式の部の会場。89~92年にはセ・パ両リーグの公式戦計5試合が開催され、イースタン・リーグも行われている。
≪弘前市「非常にショック」≫青森・弘前市運動公園野球場(はるか夢球場)でも、6月23日の楽天―オリックス戦が中止になった。岩木山を模したスタンドを造るなど大規模な改修工事を終えた17年に県内29年ぶり、同球場では33年ぶりの公式戦を実現させて以来、昨年まで3年連続で楽天戦を開催。毎年チケットは完売し、約1万3000人が観戦する一大イベントとなっていた。
弘前市ではオフに楽天の野球教室なども行われており、試合開催との相乗効果により、野球振興が進められている。同市スポーツ振興課の奈良岡隆介氏(44)は「1年に1度のことだったので、地元も非常にショックだが、仕方がない」と肩を落とした。
奈良岡氏は、来年以降の誘致や開催はまだ不透明としつつも「また開催できたら、今年やれなかった分、選手には地元・東北で暴れてもらいたい」と楽天にエールを送った。コロナ禍を乗り越え、再び地元の球場に笑顔と熱気が戻る日に備える。
【19年地方開催の名珍場面】
☆10代で2戦連続V弾(4・16ヤクルト―阪神戦=松山)ヤクルト・村上が球団史上初となる10代での2試合連続決勝本塁打。小川監督の通算400勝(代行時代を含む)に花を添えた。
☆中断で傘拝借(5・18ソフトバンク―日本ハム戦=熊本)雨に見舞われた一戦で4回、ソフトバンク・牧原が自打球で一時中断。この間に日本ハム・西川が外野席のファンに傘を借りて談笑し、ソフトバンク・内川がトンボ掛けするなど場内を和ませた。
☆悲願の凱旋弾(5・21西武―ソフトバンク戦=那覇)西武・山川が7回に両リーグ一番乗りの20号3ラン。プロ入り後初めて故郷・沖縄での試合に出場し、詰めかけたファンに「どすこいポーズ」を披露した。
☆「地方の鬼」本領(6・29ヤクルト―巨人戦=秋田)巨人・山口(現ブルージェイズ)が7回無失点で8勝目をマーク。移籍後の地方球場での成績を6戦5勝とし「地方の鬼」が抜群の安定感を見せつけた。
☆20年ぶり日没コールド(8・28日本ハム―西武戦=釧路)試合前から小雨が降る中8回表まで進むが日が沈み、照明設備がないためコールドゲームに。99年6月20日オリックス―近鉄戦(札幌円山)以来の珍事。
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