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矢野阪神 高3球児5万人に贈る甲子園の土 キーホルダーに詰める「僕たちの気持ち」

2020年06月09日 05:30

野球

矢野阪神 高3球児5万人に贈る甲子園の土 キーホルダーに詰める「僕たちの気持ち」
高校3年生の球児たちにプレゼントする甲子園の土を手にする阪神・矢野監督 Photo By 代表撮影
 高校球児に粋なプレゼントだ! プロ野球の阪神と甲子園球場は8日、日本高等学校野球連盟に加盟する硬式・軟式野球部の3年生全部員を対象に、「甲子園の土」が入ったオリジナルキーホルダーの贈呈を行うことを発表した。矢野燿大監督(51)が中心となって企画。製作費用の一部を監督、コーチ、選手一同で捻出する。記念のキーホルダーは、8月下旬を目処に順次、対象の学校へ届けられる。
 ついに、矢野阪神が立ち上がった。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、8月10日に開幕予定だった第102回全国高校野球選手権大会は中止が決定。夏は戦後初の中止、春夏とも中止は史上初めてだった。夢を失った高校球児に対し、何かできることはないだろうか―。協議を重ねてきた阪神と甲子園球場が、思いの詰まったプレゼントを贈ることを決めた。

 「気持ちをどこにぶつけていいかわからないようなニュースを見ていたので。何か応援したい、背中を押せるものがないかなというところで。甲子園の土を贈らせてもらうってことを決めました」

 中心発案者となった矢野監督が経緯を明かした。5月中旬から選手らとオンラインでミーティングを実施。「甲子園の土」キーホルダーの贈呈が発案された。対象は全国約4000校の硬式、軟式野球部に所属する全3年生部員の約5万人。球団と球場も賛同し、日本高野連に相談を持ちかけ実現した。

 「少しだけでも前に向けるようになるものはないかと。何かしたいというみんなの思いがあった。その思いを集めて実現できるっていうのは阪神ならではのことだと思った。みんな気持ちよく『よしっ、やりましょう!』ということで一致団結して賛同してくれた」

 野球を愛する者として、その胸中は痛いほど分かっていた。時折、目を潤ませながら、球児たちの未来にも思いをはせた。「一歩でも踏み出すみんなの後押しになる未来を想像して、届けさせてもらおうかなと思っています」。製作費用の一部を監督、コーチ、選手で捻出し、今後は土も集める予定だ。

 「お金もみんなで集めて、僕たちが土を集めることでキーホルダーの中に、僕たちの思いっていうのも入って球児に届いてほしいと。ただ単に物を贈るんじゃなくて、僕たちの気持ちを届ける」

 プロ野球は6月19日に開幕を迎える。「阪神が頑張っているから、僕たちも頑張ろうというふうな姿を見せられると思う。そういうシーズンにしていきます」。届けるのは土だけではない―。今季は甲子園を本拠地とするチームの使命も加わり、一丸で戦いに挑む。(山本 浩之)

 ▽甲子園の土 甲子園球場の内野にある土の総重量は約1000トン。3000平方メートル弱の面積に約30センチの深さで敷かれている。高校球児が持ち帰るだけでなく、雨風で流出することから年間約5トン前後を補充しているという。高校野球が開催される時の土は、鹿児島、岡山、三重などの土と、中国・福建省や京都・城陽などの砂をブレンドしたもの。黒土を約6割、砂を約4割で配合しているが、雨の多い時季は水はけをよくするため黒土の割合を減らしている。

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