日本ハム・栗山監督、今季限りで勇退 大谷二刀流“生みの親”球団最多674勝 後任候補に稲葉篤紀氏ら

2021年10月06日 04:00

野球

日本ハム・栗山監督、今季限りで勇退 大谷二刀流“生みの親”球団最多674勝 後任候補に稲葉篤紀氏ら
2016年、日本一に輝いた日本ハムの栗山監督 Photo By スポニチ
 日本ハム・栗山英樹監督(60)が今季限りで勇退することが5日、分かった。就任1年目の12年にリーグ優勝し、大谷翔平投手(27=現エンゼルス)を二刀流で育て、16年は日本一に輝くなど通算勝利数は球団最多。ここ3年はBクラスに低迷し、10年を区切りに23年の新球場開場へ向けたチーム強化を新体制に託す。後任はOBで侍ジャパン監督として東京五輪で金メダルを獲得した稲葉篤紀氏(49)を中心に人選を進めていく。
 監督就任から10年。球団では「親分」こと大沢啓二氏の2期通算11年に次ぐ長期政権の中、栗山監督はスカウティングと育成という球団理念の下にチームづくりに心血を注いできた。12年の就任以来「一年一年が勝負」との考えで、単年契約で臨んできた。昨年は就任以来初の2年連続Bクラス。今季を「集大成の一年」と位置づけ、その10年目を区切りとしてユニホームを脱ぐ。

 「魔術師」と呼ばれた名将・三原脩氏の野球を標榜(ひょうぼう)し、先入観を持たずに独自の野球を展開。就任1年目の12年にリーグ優勝し、同年ドラフトで大リーグ志望だった花巻東の大谷を1位指名して二刀流で唯一無二の選手に育てた。「過去に例がない」という周囲の批判の声を押し切って二刀流を貫かせられたのは、先入観を持たない指導力なればこそだ。

 16年には、大谷を二刀流でフル回転させて日本一。入団当初の公約通り17年オフに米球界へ送り出された大谷は今季、メジャーの記録を次々に塗り替えてMVPの最有力候補に挙がっている。大谷の移籍後もぶれることはなく、早い回から継投に入る「オープナー」や極端な守備シフトを導入。今年4月には大沢氏を抜く球団最多勝利(通算632勝)を挙げ、ここまで674勝を積み上げた。

 一方で17年以降は優勝から遠ざかった。今季のチームは開幕から低迷し、現在も最下位。3年連続のBクラスが濃厚となっている。今季のチーム65本塁打はリーグワースト。同じく本塁打数が最下位だった19、20年に続き長打力不足に悩まされた。8月には主砲・中田が暴力事件を起こし、無期限出場停止処分を受けて巨人へトレードされた。その際、栗山監督は「全ての責任は自分にある」と語り、巨人・原監督へ直接移籍を打診。中田の将来を考えての配慮だった。チームの勝利とともに選手の可能性を信じ、輝かせることに心を砕いてきた。

 今季は3年目の野村が中軸に定着。23年の新球場開場へ向けて優勝を争えるチームへの下地もできつつある。就任時、吉村浩GM(当時チーム統括本部長)とともに「日本一でなく、世界一を目指そう」と歩んだ10年。大谷という史上最高の選手を育て上げ、「世界一のチーム」という目標を新体制に託して監督生活に幕を下ろす。

 ◇栗山 英樹(くりやま・ひでき)1961年(昭36)4月26日生まれ、東京都出身の60歳。創価から東学大を経て、83年ドラフト外で内野手としてヤクルト入団。2年目に外野手に転向し、89年にゴールデングラブ賞獲得。90年、体調不良を理由に29歳で現役引退。その後はスポーツキャスターとして活躍し、11年11月に日本ハム監督就任。1年目の12年にリーグ優勝、16年に日本一を達成した。

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