女子野球は「未来しかない」(2)タウン認定第1号の佐賀・嬉野市 始まりは「球場に女子トイレがない!」
2022年01月26日 08:00
野球
![女子野球は「未来しかない」(2)タウン認定第1号の佐賀・嬉野市 始まりは「球場に女子トイレがない!」](/baseball/news/2022/01/18/jpeg/20220118s00001000427000p_view.webp)
佐賀県西部に位置する嬉野市は、人口約2万6000人。「うれしの茶」や温泉が名産で、九州新幹線の新駅開業も控える。国内で唯一、名前に「嬉」が入るとあって『「女」性が「喜」ぶまち』をキーワードに掲げ、行政として女性活躍をまちおこしの軸としてロールモデルを立ち上げようとしている。
村上大祐市長は「産業の現場をまわっていると、活気のある会社や経営体は必ず女性が活躍している」とし、女性のコミュニケーションの取り方とSNSとの親和性を踏まえた上で「偉い人が良いっていうものが売れるのではなく、みんなが共感していいねって言ってもらえるものづくりをしたい。女性に選ばれるまちでなければ未来はない。嬉野市としても深刻な課題。切迫感を持っている。住みたい、訪れたいまちを作って、子育て環境を充実させるのはとても大事な事。まちの生き残りがかかっている。女性が輝けば、みんなが幸せになれると確信している」と力説する。
そんな中、オランダとの縁から女子オランダ代表の合宿を受け入れた過去を踏まえ、女子野球にフォーカス。これが大きな気づきをもたらした。
女子野球界の熱意に感銘を受け、合宿誘致を計画した際、連盟から「球場に女子トイレはありますか?」と聞かれたという。それまで気づかなかった「女性目線」の指摘だった。市はさっそく「トイレ問題」解決に動いた。プロジェクトチームを組み、男女問わずに使える野球場への改修を提案した。これを機に、女子野球界とできることはスポーツを通じたまちづくりだけでなく、「女性目線」を取り入れたまちづくりを目指すことができるのではと手応えを得た。「女子野球タウン構想が目指すものは、まさに女性目線によるまちづくりではないか」。この体験から「タウン構想」では真っ先に手を挙げ、独創性あふれる企画は連盟側からも好評で認定第1号を勝ち取った。
斬新だったのは、大会誘致で地元経済を盛り上げるなどの表面上の視点ではなく、女子野球そのものでまちおこしをしようという企画力だった。女子野球の振興、代表合宿の誘致など女子野球の応援を通じて、地元で奮闘している女性グループと交流したり、女子野球選手からのアドバイスなどを受けながら、女性ならではの視点を施策や事業に積極的に取り入れて地域を活性化しようとしている。
選手と地域住民の交流やエール交換の様子を市の広報を始め、メディアで紹介するほか、コラボ商品として「マドンナジャパンの勝ち米」「マドンナジャパンの早摘み茶」「マドンナジャパンの一輪挿し(肥前吉田焼)」などを提案。「嬉野女子茶会」「スポーツサミット」などのイベントも考案し、まちを挙げての全面バックアップを名乗り出た。
嬉野市にとってはただのまちおこしではなく、まちの存続をかけた取り組み。それだけに情熱とかける思いは半端なものではなかった。(3に続く)
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