試練は乗り越えられる者にしか訪れない DeNA・大和の挑戦

2022年12月04日 12:00

野球

試練は乗り越えられる者にしか訪れない DeNA・大和の挑戦
DeNA・大和 Photo By スポニチ
 【君島圭介のスポーツと人間】DeNA・大和が慢性腎臓病であることを公表した。契約更改を終えた会見は笑顔で始まった。サッカー少年だった幼少期の話などで盛り上がり、さあそろそろ終了というとき。大和がおだやかに切り出した。笑顔さえ浮かんでいた。
 「重い感じで受け止めないでほしいんですけど、幼い頃から慢性腎臓病を患っている」。今、公表したのは理由があった。

 「自分があと現役どれくらいできるかも分からないし、同じ病気を持つ子供たちに勇気や希望を与えるられるのは現役中なので」。

 腎臓病には有効な治療法がなく、年齢とともに悪化していくという。来年はプロ18年目。公表には大和の覚悟が詰まっていた。
 大和だけではない。球界には難病と闘いながら素晴らしい成績を収めてきた選手たちがいる。堅守とチャンスに強い打撃でオリックスのリーグ連覇、そして日本一に貢献した安達了一は厚労省指定の難病「潰瘍性大腸炎」を患いながらプレーしている。

 ソフトバンクにいた大隣憲司は国指定の難病「黄色じん帯骨化症」が発病しながら見事に復活し、14年の日本一に貢献した。
 大腸がんを乗り越えた阪神・原口文仁や同じ阪神で脳腫瘍と戦った横田慎太郎らにいったいどれだけの人が励まされてきただろうか。彼らの勇姿を見れば「試練は乗り越えられる者にしか訪れない」という孟子の言葉を思い出す。

 大和の場合は水分補給や規則正しい生活で対応しているが、大量に水分を失うのがアスリートで、ナイターとデーゲームが入れ替わるシーズン中はリズムを作るのも大変だろう。大和は「自分の命を取るのか野球を取るのかくらいの感覚。今後の人生を考えればやめるべきなのかもしれないけど、ずっと野球を選んできたし、野球で終われるのが一番いいかなというのが自分の選択」と決意を明かした。

 孟子はこう続けた。「心を悩ませ苦痛を味わった者だけが人間が生まれついて持っている素晴らしい力を開花させられるのだ」。これまで以上の覚悟を持って挑む来シーズン。もっと強い大和を見ることができるだろう。(専門委員)

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