村田 男泣き、悲願の王座奪取 エンダム圧倒 リベンジTKO
2017年10月23日 05:30
格闘技
![村田 男泣き、悲願の王座奪取 エンダム圧倒 リベンジTKO](/battle/news/2017/10/23/jpeg/20171023s00021000019000p_view.jpg)
実力への自信や評価を得た5カ月前、唯一手に入らなかったものを見つめた。
完璧なリベンジを生んだのは、帝拳ジムの本田明彦会長が「世界一」と話す鉄壁のガードだ。エンダムのジャブもストレートもグローブではじき返し、前進して強烈なプレッシャーをかける姿はまるで要塞(ようさい)。「1回やったので(相手は)右のタイミングを分かっていたけど、こちらもブロックで通用する相手と分かっていたから手が出た」。絶対的な防御に支えられ、手数の少なさが判定に影響した前回よりもスムーズに序盤から打ち込んだ。「3、4回で(エンダムが)ゼーゼーいっているのが分かった」。仕方なく打ち合ってきた相手の棄権は時間の問題だった。
「体も腕も縮こまっている」。ジム関係者が漏らしたのは試合3週間前。スパーリングの内容が悪く、10ラウンドの予定は7ラウンドで打ち切られた。ダウンを奪った初戦の内容から「再戦は村田有利」と言われたことが、逆に重圧となった。勝つために考え、いろいろと試すうちにバランスが悪くなった。それでも「ガード」「相手へのプレッシャー」「右」で戦うことを再確認。自分の強みを前面に出すしかないと開き直り、調子を取り戻した。
初戦の試合後、控室で悔し涙を流した。母校・南京都高の会合に出席すると、後輩の久保隼(前WBA世界スーパーバンタム級王者)のベルトを見た長男・晴道君から「これは何?」と聞かれた。「自分もこれを獲るしかない」と決意し、奪ったベルト。誰に渡したいかと聞かれ「息子です」と笑った。
ミドル級で世界に臨む心境を「面白いのは世界王者になることがゴールでありスタートであること。勝てばラスベガスで試合とかあり得る世界」と話していた。五輪金メダルのゴールからプロのスタートに立ち、4年で新たなスタートラインに立った。「組んでくれた試合で結果を出したのは自分を褒めてもいいかな」と話す一方、「上のステップに行くために必要な試合があると思う。そこに向けてやりたい」と抱負を語った。
激戦の階級故にゴールはまだ先。村田諒太のプロ第2章はきっと長くなる。
▼竹原慎二氏(日本初の世界ミドル級王者)五輪メダリストで世界王者は本当に凄い快挙。今回は絶対に勝たないといけないというプレッシャーも強かったはず。褒めてあげたい。
▼第1戦VTR 5月20日にWBA世界ミドル級王座決定戦で対戦。ジャブを突きながら右を打ち込むエンダムに対し、ガードを固めた村田は前進してプレッシャーをかけ、4回にカウンターの右ストレートでダウンを奪取。5、6回に右でロープへ吹っ飛ばすなど、その後も手数は少ないながら有効打で勝ったように見えたが、1―2の判定(117―110、111―116、112―115)負けでプロ初黒星。WBAはメンドサ会長が直後に判定は誤りと表明し、エンダムの勝ちと採点したパディージャ(パナマ)、アール(カナダ)の両ジャッジを6カ月の資格停止にして即座の再戦を命じた。
◆村田 諒太(むらた・りょうた)1986年(昭61)1月12日、奈良市生まれの31歳。南京都高―東洋大。高2で高校3冠を達成するなどアマ通算138戦119勝(89KO・RSC)19敗。12年ロンドン五輪では日本勢48年ぶりとなる金メダルを獲得した。13年8月プロデビュー。身長1メートル83・0、リーチ1メートル87・5の右ボクサーファイター。
≪BOATRACE振興会、純金メダル贈呈≫WBA世界ミドル級王者となった村田に、BOATRACE振興会から偉業を称える純金製メダルが贈られた。同タイトルマッチに協賛している同会が制作したメダルは直径7センチ、厚さ6ミリ、重量450グラムで、時価総額は228万8700円(18日現在)。試合後のリングで贈呈式が行われ、同会の小高幹雄会長から村田に直接手渡された。