比嘉 地元沖縄で瞬殺V2!15戦連続KO日本記録に並ぶ
2018年02月05日 05:30
格闘技
指笛が大歓声に変わった場内を尻目に、比嘉は冷静だった。最後のコンビネーションは「(16年7月に)東洋太平洋王座を獲った試合で倒したのと同じもの」。当時はKO勝ちと早とちりしてコーナーに駆け上がり、起きてきた相手を慌てて迎えたが、この日は10カウントを待ってコーナーへ。前日は一睡もできないほど緊張したと明かし、「1回で勝てると思ってなかった。地元のプレッシャーはあったけどうれしい」と笑顔で振り返った。
試合2日前にピンチに陥っていた。約10キロの減量の影響で半身浴中に足がつり、王座奪取前のようなパニック障害を起こしかけた。野木丈司トレーナーがコップ2杯分の水を飲ませ、2時間も足をマッサージして回復。この時点でリミットを1・2キロオーバーしていたが、計量には何とか間に合わせた。「減量は今回が一番厳しかった。よく頑張ったと思う」と同トレーナー。過酷で豊富な練習で得た自信は調整に苦しんでも揺るがなかった。
デビューから15試合連続KO勝利。放送席にいた同じ沖縄出身の先輩王者・浜田剛史氏の目前で、浜田氏が33年前に樹立した日本記録に並んだ。4回戦の頃、浜田氏から「遊びたい時期だろうが、引退したらいつでも遊べる」と諭され、友人との付き合いを控えてボクシングに集中。成長を促してくれた。「浜田さんの記録に並べて光栄」との言葉は恩人への感謝でもあった。
前回に沖縄で世界戦が行われた37年前、KO負けして王座から陥落した具志堅会長の無念を晴らした。具志堅会長を含め、地元の世界戦で3戦全敗だった沖縄勢に初勝利ももたらした。次戦は夏前に指名試合を予定。「とりあえず浜田さんを超える16連続KO。16をクリアしたら20までいきたい」。沖縄産KOマシンは、さらに強さの証を求めていく。
◆比嘉 大吾(ひが・だいご)1995年(平7)8月9日、沖縄県浦添市生まれの22歳。中学までは野球で三塁手、投手、外野手。宮古工入学と同時にボクシングを始め国体フライ級ベスト8などアマ44戦36勝(8KO)8敗。14年6月プロデビュー。15年7月にWBCユース・フライ級王者(防衛2)、16年7月に東洋太平洋同級王者(防衛1)。17年5月、エルナンデス(メキシコ)に6回TKO勝ちでWBC同級王座獲得。身長1メートル60・1、リーチ1メートル64の右ファイター。家族は父・等さん、兄・力斗さん。